日韓関係――朝日新聞世論調査の結果から見たその危うさ
日韓関係――朝日新聞世論調査の結果から見たその危うさ
朝日新聞は、3月16日、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が訪日して行われた日韓首脳会談に関連して、18、19日に世論調査を行い、その結果を20日付朝刊で以下のように報じています。
①16日に開かれた岸田文雄首相との首脳会談について「評価する」と答えた人は63%で、「評価しない」21%を上回った。内閣支持層では78%が「評価する」と答え、内閣不支持層でも「評価する」は56%と半数を超えた。
②徴用工問題で韓国政府が発表した「被告の日本企業に代わり韓国政府傘下の財団が原告に賠償金相当額を支払う解決策」については「評価する」55%が「評価しない」28%を上回った。「評価する」は内閣支持層で65%、不支持層では49%となった。
③これから先の日韓関係については、「よい方向に進む」が37%、「悪い方向に進む」は3%、「今と変わらない」57%だった。
④内閣支持率は40%(前回2月調査は35%)。不支持率は50%(同53%)だった。
この世論調査の結果は、わが国国民が、日韓関係の正常化が図らようとしていることそのものを素直に好感したものとは、私には思えません。
尹大統領は、「徴用工」に関する損害賠償問題について、韓国政府が設立する財団が裁判所によって支払いを命じられた日本企業の賠償金債務を肩代わりする案を発表、これに呼応して日本政府は植民地支配に対する反省とお詫びを盛り込んだ「日韓共同宣言」(1998年10月)を含む歴代内閣の歴史認識の継承を確認することを表明したことを受けて来日し、首脳会談においても、侵略・植民地支配の責任を一切問うことなく、日本側に何らの注文もつけることなく、日韓関係の正常化、首脳間の相互訪問、「シャトル外交」の再開を確認しました。
客観的に見れば、これは、わが国国民の目には安倍政権以来のわが国の対韓強硬姿勢が功を奏し、韓国側はこれに服した、すなわち日本外交の勝利と映ったことを示している言えるのでしょう。首脳会談を評価する人、「徴用工問題解決策」を支持する人は多数、とりわけ内閣支持層では圧倒的多数であるが、他方で日韓関係は「今と変わらない」と見る人も多数だという結果がそのことを物語っています。そしてその功ありとして岸田首相は株を上げました。
なんのことはない、これはわが国国民の間に安倍政権が培養した嫌韓・反韓感情が未だ根強いことを示しているのです。
一方、韓国ではどうでしょうか。
韓国の世論調査会社「リアルメーター」が13~17日に実施し、20日発表した世論調査では、尹大統領の支持率が前週比で2・1ポイント減の36・8%、「不支持」は同1・5ポイント増の60・4%でした。これは、訪日発表から訪日後の経過を反映した世論調査ですから、韓国国民は今回の首脳会談を決して歓迎していないことを示しています。この結果に、6日に韓国政府が「徴用工問題解決策」を公表した後「リアルメーター」の調査で尹大統領の支持率が4・0%下落したこと、韓国の別の世論調査会社「ギャラップ」の調査では「徴用工問題解決策」に賛成する人は35%、「日本の謝罪と賠償がなく反対」という人が59%であったこと、尹大統領の支持率は34%(前週比2ポイント減)、不支持率は58%(同3ポイント増)、不支持の理由として「徴用工問題解決策」をあげる人が16%と最多でした。
日韓の世論のねじれは明白です。そのねじれの根底に、日本が韓国に侵略し、植民地支配をした近現代史の難問に対するわが国政府の不誠実な対応、わが国国民の無反省が横たわっているように思えてなりません。これに向き合うことなく、日韓関係の真の正常化はあり得ないと思います。(了)
朝日新聞は、3月16日、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が訪日して行われた日韓首脳会談に関連して、18、19日に世論調査を行い、その結果を20日付朝刊で以下のように報じています。
①16日に開かれた岸田文雄首相との首脳会談について「評価する」と答えた人は63%で、「評価しない」21%を上回った。内閣支持層では78%が「評価する」と答え、内閣不支持層でも「評価する」は56%と半数を超えた。
②徴用工問題で韓国政府が発表した「被告の日本企業に代わり韓国政府傘下の財団が原告に賠償金相当額を支払う解決策」については「評価する」55%が「評価しない」28%を上回った。「評価する」は内閣支持層で65%、不支持層では49%となった。
③これから先の日韓関係については、「よい方向に進む」が37%、「悪い方向に進む」は3%、「今と変わらない」57%だった。
④内閣支持率は40%(前回2月調査は35%)。不支持率は50%(同53%)だった。
この世論調査の結果は、わが国国民が、日韓関係の正常化が図らようとしていることそのものを素直に好感したものとは、私には思えません。
尹大統領は、「徴用工」に関する損害賠償問題について、韓国政府が設立する財団が裁判所によって支払いを命じられた日本企業の賠償金債務を肩代わりする案を発表、これに呼応して日本政府は植民地支配に対する反省とお詫びを盛り込んだ「日韓共同宣言」(1998年10月)を含む歴代内閣の歴史認識の継承を確認することを表明したことを受けて来日し、首脳会談においても、侵略・植民地支配の責任を一切問うことなく、日本側に何らの注文もつけることなく、日韓関係の正常化、首脳間の相互訪問、「シャトル外交」の再開を確認しました。
客観的に見れば、これは、わが国国民の目には安倍政権以来のわが国の対韓強硬姿勢が功を奏し、韓国側はこれに服した、すなわち日本外交の勝利と映ったことを示している言えるのでしょう。首脳会談を評価する人、「徴用工問題解決策」を支持する人は多数、とりわけ内閣支持層では圧倒的多数であるが、他方で日韓関係は「今と変わらない」と見る人も多数だという結果がそのことを物語っています。そしてその功ありとして岸田首相は株を上げました。
なんのことはない、これはわが国国民の間に安倍政権が培養した嫌韓・反韓感情が未だ根強いことを示しているのです。
一方、韓国ではどうでしょうか。
韓国の世論調査会社「リアルメーター」が13~17日に実施し、20日発表した世論調査では、尹大統領の支持率が前週比で2・1ポイント減の36・8%、「不支持」は同1・5ポイント増の60・4%でした。これは、訪日発表から訪日後の経過を反映した世論調査ですから、韓国国民は今回の首脳会談を決して歓迎していないことを示しています。この結果に、6日に韓国政府が「徴用工問題解決策」を公表した後「リアルメーター」の調査で尹大統領の支持率が4・0%下落したこと、韓国の別の世論調査会社「ギャラップ」の調査では「徴用工問題解決策」に賛成する人は35%、「日本の謝罪と賠償がなく反対」という人が59%であったこと、尹大統領の支持率は34%(前週比2ポイント減)、不支持率は58%(同3ポイント増)、不支持の理由として「徴用工問題解決策」をあげる人が16%と最多でした。
日韓の世論のねじれは明白です。そのねじれの根底に、日本が韓国に侵略し、植民地支配をした近現代史の難問に対するわが国政府の不誠実な対応、わが国国民の無反省が横たわっているように思えてなりません。これに向き合うことなく、日韓関係の真の正常化はあり得ないと思います。(了)
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