核燃料サイクルからの撤退を! (3)

それでは次に、わが国が採用した再処理路線の実情を見てみよう。

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わが国の使用済燃料再処理の実状
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動燃(動力炉・核燃料開発事業団。後に核燃料サイクル開発機構を経て、日本原子力研究開発機構。以下同じ。)の東海再処理工場は、1974年に竣工し、試験運転期間を経て、1981年に本格運転を開始した。同工場は、もともと処理能力210トン/年の小規模な再処理施設であったが、事故や故障が相次ぎ、計画通りには稼働できず、特に1997年3月、アスファルト固化処理施設の爆発・火災事故により、2000年11月、再開されるまで、3年8ヶ月間運転停止、その後も既搬入のものを再処理するために細々と断続的に運転をしているだけで、20数年の間に、およそ1000トンの使用済燃料を受け入れ、再処理をしたに過ぎない。
なお、現在は、新規受け入れをしていない。

かわって日本原燃の六ヶ所再処理工場がテークオフに向かって進んでいる(日本原燃は、資本金4,000億円、沖縄電力以外の9電力会社及び日本原子力発電株式会社の有する資本比率が91%、原子力発電事業を行う電力会社全部の子会社的な存在である。青森県上北郡六ヶ所村に、再処理工場のほか、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、MOX燃料加工施設を建設している。)。

既定プランによると、同工場操業開始後、使用済燃料は、各原子力発電所内の貯蔵プールで1年以上貯蔵された後、同工場に搬送され、同工場の貯蔵プールにおいてさらに3年以上貯蔵され、結局、合計4年以上貯蔵、冷却された後に、再処理工程にまわされることになっている。

同工場は、1989年、再処理事業指定申請書提出、1992年、再処理事業指定(原子炉等規制法44条)、1993年に着工と、順調に歩みを進めたが、着工後は、足踏み状態、当初計画から大幅に遅延している。再処理事業指定申請書によれば、建設費7,600億円、最大再処理能力800トン/年、1997年、完成・本格運転開始の計画であった。ところが、過去20回の変更・延期を繰り返し、現時点では、2014年10月完成を目指し、原子力規制委員会に新基準適合審査申請をしたことは前述のとおりである。
建設費も実に2兆1,930億円、当初予算の約3倍に膨れあがってしまった。

わが国では、これまで発生した使用済燃料のうち、約7200トンをフランスのAREVA NC〈旧COGEMA〉ラ・アーグ再処理施設と英国原子力グループBVGS〈旧BNFL〉のセラフィールド再処理施設に委託をし、約1000トンを東海再処理工場に搬入して、それぞれ再処理をしてきた。しかし1999年以後は、国内再処理の方針を打ち出し、新規の海外委託を停止しており、また東海再処理工場の現況も上述したとおり新規の受け入れがなされていない。

その結果、使用済燃料の貯蔵量は、各原子力発電所内における貯蔵プールに約13500トン、六ヶ所再処理工場の使用済燃料貯蔵プールに約2800トン、合計約16300トンもため込まれている。

上述のとおり電気出力100万kwの原子炉を1年間運転すると約30トンの使用済燃料が生み出される。仮に福島原発事故直前に稼働していた54基、合計約4900万kwの原発を稼働率70パーセントで運転すると、毎年、約1000トンもの使用済燃料が発生する。全国の原子力発電所で発生する年間約1000トンの使用済燃料の行き場は、やがてなくなってしまうことになることは目に見えている。

こうしたことは、早くから予測できることであった。仮に六ヶ所再処理工場が本格運転を開始した後、最大処理能力いっぱいで運転を続けても、全国の原子力発電所で発生する使用済燃料を全て再処理できるものではないことも明らかであった。しかるに、政府は、手をこまねき、いよいよ深刻さの度合いが深まってからようやく泥縄式に対策を講じることとなった。

1999年6月に、各原子力発電所で発生する使用済燃料は再処理のために搬出するまで各原子力発電所構内で保管・貯蔵することとされていた原子炉等規制法の規定を改正し、使用済燃料の貯蔵事業、即ち中間貯蔵施設を設置、運営する事業を許可できることとしたのである(同法43条の4)。これに基づき、東京電力と日本原子力発電が共同出資して設立したリサイクル貯蔵株式会社が、青森県むつ市に、中間貯蔵施設(「リサイクル燃料備蓄センター」と命名されている。貯蔵容量は3000トン)のを建設を進め、昨年8月29日完成、今月15日には、原子力規制委員会に対しの策定した新規制基準への適合性審査を申請する段取りとなっている。
しかし、それによって事態が抜本的に改善されるものではなく、一時的な弥縫策に過ぎないことは明らかであるように思われる。
(続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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