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核燃料サイクルからの撤退を!(10)

都知事選に、脱原発都政の確立の一点で統一を進めることは矮小化であろうか。私は決してそうではないと思う。その理由として脱原発をさまざまな現在的課題の代表指標と見なす考え方については既に述べた。それに加えて以下のように述べておきたい。
脱原発を本気になって追及すると実はそれは極めて豊富な内容を持ってくる。たとえばプルトニウムの分離・備蓄やウラン濃縮は潜在的核兵器開発につながり、核武装ポテンシャルを抑止力とする安全保障政策につきあたる。脱原発はこれと対峙することになり、憲法9条を守る課題を担うことになる。原発事故の発生のおそれにさらされつつ生きる立地地域の住民は平和的生存権(憲法前文、9条)と生命、幸福・人間らしく生きる権利(憲法13条)及び財産権(憲法29条)が侵害される危険に直面している。立地地域住民と電力消費地都市住民には、これらの権利を侵害される者と単に受益するだけの者との不平等が存在し、憲法14条に違反する現実がある。脱原発は、これらを解決することも課題として担うことになる。矮小化だという論は、実は脱原発をエネルギー政策だけの問題に矮小化しているのではなかろうか。

さてプルサーマルの導入経緯は、我が国における反原発運動の歴史とクロスする。このことを簡単に見ておくこととする。

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プルサーマル導入の経緯(2)
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1979年3月28日、アメリカのペンシルヴァニア州スリーマイル島(TMI)原子力発電所2号炉(PWR)で、二次冷却系の主給水ポンプが停止したことに端を発し、いくつかのミスが競合して、冷却材喪失→核燃料メルトダウンとなり、大量の放射性物質が環境に放出された。この事故は、国際原子力機関(IAEA)及び経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が共同で定める国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル5に該当するもので、世界に大きな衝撃を与えた。

TMI事故後、スエーデンをはじめヨーロッパ諸国は、原子力発電依存からの脱却の方向を模索し始めた。アメリカでも安全規制が強まり、原子力発電所建設コストが急上昇したため、電力会社からの新規発電用原子炉発注がストップしてしまった。こうして世界的に原子力発電は低迷期を迎えた。

ところが、日本では、事故後わずか2日の1979年3月30日、原子力安全委員会(前年の1978年10月、原子力委員会から分離独立する形で発足していた。)は、「事故の原因となった二次系冷却水ポンプ1台停止、タービン停止がわが国の原発で起きても、TMIのような大事故に発展することはほとんどあり得ない。」との吹田徳雄委員長談話を発表し、原子力発電の安全性に関する論議を封じ込んでしまった。そして1970年代から1990年代半ばまで、日本の原子力発電は、40基以上、発電設備容量にして4400万Kw以上の原子炉が営業運転を始めるという世界の趨勢に逆行する異常に突出した発展ぶりを示した。

さらに1986年4月26日、ソ連のチェルノブイリ発電所4号炉で、核分裂暴走→大爆発→メルトダウン、放射性物質の大量放出という大事故が発生した。
チェルノブイリ事故に関して、日本の原子力発電を推進する関係者らは、以下のように述べて、同事故は、わが国の原子力発電の安全性を揺るがすものではないと主張し、日本ではチェルノブイリのような事故は発生しないことをキャンペーンした。

① チェルノブイリの原子炉は、黒鉛減速軽水冷却型の炉である。これは冷却材である水にボイド(泡)が発生すると、炉心において、中性子を吸収しなくなり、中性子が増量するので、正の反応度が加わり、暴走しやすいという特性を備えている。これに対して、日本の軽水炉である。こちらは、水が、減速材と冷却材を兼ねているので、ボイド発生により、中性子を吸収しなくなって生じる中性子増量=正の反応度と、減速材として中性子を減速しなくなることによる負の反応度が同時に生じるが、後者の方が大きいのでむしろ暴走を抑える原理・構造となっている。

② チェルノブイリの原子炉には圧力容器も格納容器もないので、事故により、放射性物質は直接放出されてしまうが、日本の軽水炉では、圧力容器と格納容器という二重のバリアがあるので、万一、事故が発生しても放射性物質は放出されない。

③ チェルノブイリはいくつかの運転員の規則違反が重なって重大化したものであり、運転員が規則違反を重ねるソ連の安全文化に比べ、日本の安全文化は格段に優れており、運転員が同様の規則違反を犯すことはあり得ない。

しかし、これに対しては、以下のように反論もなされ、日本国内においても、原子力発電から脱却しようという大きな国民世論を巻き起こり、原子力発電所の新規建設に大きなブレーキがかかることになった。

① 暴走事故の原因となるのは冷却水にボイドが発生する場合だけではない。また暴走事故ではなく、冷却材喪失事故を経てメルトダウンに至るコースもある。地震国日本の軽水炉の場合、こちらの方が問題である。

② チェルノブイリ事故のような大爆発が発生すれば、圧力容器も格納容器も破砕される。日本でもメルトダウン、メルトスルーにより水蒸気爆発が発生すれば、圧力容器も格納容器も吹っ飛ぶおそれがあり、バリアの機能を持たなくなる。

③ それぞれに指摘されている規則違反は、運転員の責めに帰せられるものではなく、実際の状況下においてはそのような行動を防止できるものではない。
(続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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