核燃料サイクルからの撤退を! (13)

1月6日付「朝日」紙は、「原発政策 政治の無責任は許されぬ」と題する一本社説を載せた。「福島第一原発の事故に苦しむ日本が、脱原発に向かうのか、それとも元の道に戻るのか。今年はその分岐点になる」との書き出しで始まる、凛として良い文章である。

現在、原子力規制委員会では、9原発16基の原子炉の、新基準への適合審査(再稼働)申請が受理され、うちプルサーマル運転3基を含む9基の原子炉の審査が山場を越えたとされる。昨年12月25日には自民党の原子力規制に関する党内チームの座長を務める塩崎恭久衆院議員が田中俊一原子力規制委員会委員長に国会議員や立地自治体の首長、電力会社らの意見を聴くように談判し、露骨な圧力をかけた。事務局である原子力規制庁のスタッフが政府各部門の官僚の寄せ集めということで、ただでさえ独立性に懸念の強い原子力委員会は、これで一層、政権党、政府・経産省、電力会社の方に顔を向けることになるだろう。

原発再稼働の荒波とともに核燃料サイクルも走り続けようとしている。「朝日」社説は、巨額のコストがかかり、資源の有効活用という意義がなくなった核燃料サイクル事業は撤退が世界の流れだと指摘し、これを続けようとしている安倍政権を無責任と断じている。そのとおりだ。

だから都知事選、脱原発の道筋を明確に示し、この道に都民・国民を統合して戦うことを模索してほしいのである。

そろそろ核燃料サイクルの話、終わりに近づいた。今日は、プルサーマルの話をまとめ、明日、全体のまとめをしてみようと思う。

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プルサーマルの危険性
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核分裂性のプルトニウムは、ウラン235と比べると、より不安定で、中性子を吸収しやすく、核分裂を起こしやすい。

確かにウラン燃料でも、原子炉内で燃えている間に、ウラン238がプルトニウムに転換し、その半分程度(燃料全量の1%程度)が燃えている。しかし、プルサーマルで用いられるMOX燃料のプルトニウム濃度は5~10%であるから、ウラン燃料を燃やす場合に比べて、プルトニウムの量は、著しく多い。

そのために出力の急な上昇、核分裂暴走及び暴走した場合の制御棒の性能低下などが危惧されている。また燃焼中のfpガスの放出量が非常に多いことやプルトニウムの濃度が稠密になると融点が下がることなどが原因で、燃料ペレットの破損及び燃料棒の破損を起こし、メルトダウンを起こすおそれがあることが指摘されている。更には、ウラン燃料を燃やす場合と比べて、MOX燃料を燃やす場合には、アルファ線を放出し、長い崩壊系列を持ち、また半減期が長いプルトニウム240、242,ネプツニウム、アメリシウム、キュリウムなどの核種がより多く蓄積し、崩壊熱が格段に高く、放射能も著しく強くなるので、万一事故が発生して放出されると被害は著しく大きくなるなどの危険性が指摘されている。

なおプルサーマルで燃やしたMOX使用済燃料の再処理が困難であるのは、この最後に述べたことによる。

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プルサーマルはプルトニウムのごみ焼却
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以上見たように欺瞞的理由を述べたて、指摘した危険性も顧みず、しかも経済的合理性を無視してまで、政府・経産省及び電力会社が、プルサーマルを強行しようとしているのは何故であろうか。それは、結局、高速増殖炉開発・実用化が幻となった今、それでも使用済燃料再処理路線を走ることにより必然的に備蓄されていくプルトニウムを、実際に使用して減らす努力をしているということを世界に示すためのもの、即ち、アリバイづくりに過ぎないということである。備蓄したプルトニウムのごみ焼却のための苦肉の策なのである。

高速増殖炉開発・実用化構想には、誤りとはいえ、限りあるウラン資源を100%使い切り、有効利用をしたいというギラギラとした「野望」が認められた。プルサーマルには、何もない。独自の意義や価値を見いだすことはできないのである。
(続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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