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特定秘密保護法は廃止しかない―歴史に学びつつ―  (4)

4 終章

まだ考えておかなければならないことがある。

第一に、平常時においては、本法の恐るべき効用は、政府がこれを手にしていること自体により、既に生じているということである。

平常時の政府は、全ての特定秘密漏えい事件、全ての特定秘密不正取得事件に、無差別に本法を適用するわけではない。そんなことをしていると、国民もマスコミも、常にこれに反対する声を上げ、世論は常に沸騰し、悪法撤廃の運動が途切れることなく続くことになる。抜き身の刀を持ち続けると、自らが大怪我をするのだ。

平常時の政府は、本法があること自体で、公務員にも、国民にも、またマスコミにも、十分に萎縮させるに足りる効果が及んでいることを知っている。だから、雑魚をいちいち採るような愚かなことはしない。あるいは耐え難い実害がなければ立件しない。そして、これぞと思う事件を選んで本法を発動し、一部マス・メディアにリークし、これを使役して許しがたい重大スパイ事件としてキャンペーンをはらせる。

丁度、いずれも毎日新聞がからんだ1946年2月と1971年6月の二つの西山事件のように。

政府は、1946年2月の西山事件は放置し、1971年6月の西山事件には牙をむいて襲いかかった。前者は、GHQ・政府関係者の意に沿う秘密漏えいであったから西山柳造記者も毎日新聞も無傷であったが、後者は時の権力者佐藤栄作首相に極めて不都合な情報の漏えいであり、虎の尾を踏んでしまったのだ。

1972年3月27日、衆議院予算委員会。日本社会党衆議院議員横路孝弘氏は、沖縄返還協定に係る違法・不当な密約を暴露し、佐藤栄作首相と政府を追い詰めた。しかし、詰めと防御が甘かったために逆襲されてしまった。佐藤首相は、西山太吉記者が逮捕された後の1972年4月8日、参議院予算委員会において、「国家の秘密はあるのであり、機密保護法制定はせひ必要だ。この事件の関連でいうのではないが、かねての持論である。」述べた。彼は、余裕を取り戻し、得意の目玉でぎょろりと周囲を睨み、凄みをきかしたそうである。

この逆襲によって西山太吉記者は記者生命を失い、毎日新聞は経営危機に陥り、事件の打撃はマスコミ全体に及んだ。佐藤首相は、後にノーベル平和賞に輝いた。

※二つの西山事件については、私の5月5日のブログの記事「二つの西山事件―権力はここぞというときに牙をむく―」を参照して頂きたい。

第二に、政府にとっては本法がゴールでないことは既に述べたとおりであり、次のステージに進めることを虎視眈々と狙っているということである。即ち、政府は、上述のスパイ防止法案程度に処罰される行為と罰則を整備しようとしているのだ。そのためには最大限ずる賢くふるまうであろう。

国民弾圧の奥義は、古来、泳がせ政策である。政府は、特定秘密の漏えいや不正取得事件を適当に起させ、或いは見て見ぬふりをする。その上で、チャンス到来と見れば、突如として、本法には不備があると騒ぎ立てるのである。丁度、本法制定過程において、わが国はスパイ天国、現行法には不備がある、秘密保護法がどうしても必要だと騒ぎ立てたように。

そしてグレードアップした秘密保護法を、今度は非常時、戦時に濫用し、国民を沈黙させる。そのときにこんな筈ではなかったのにと嘆いてももう遅い。

だから私たちは声を上げ、叫ばなければならない。特定秘密保護法廃止!
 
                           (了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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