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注釈:集団的自衛権などに関する想定問答 (2)

 外務省のホームページにアクセスし、「よくある質問集・北米」の項を開くと、次のような問いと答えが書かれている。

問 「日米関係の現状について教えてください。」
答 「日本と米国は、基本的価値及び戦略的利益を共有する同盟国であり、日米同盟は日本外交の基軸です。現在も東アジア地域に不透明性や不確実性が存在する中、日米安全保障体制を中核とする日米同盟は、日本の平和と安全及びアジア太平洋地域の安定と発展にとって不可欠な役割をはたしています。」

 また安保法制懇の第一次報告書(2008年6月24日提出)は、「我が国が戦後平和の内に行き続けることができたのは、外交によって平和な国際環境を構築するとともに、自衛の努力とこれを補う日米同盟によって有力な抑止力を維持してきた結果である。」(「はしがき」)、「今日如何なる国も一国のみでは自国の安全保障を全うすることができず、特に我が国の場合には一層そうした事情が顕著である以上、日米安全保障条約を基礎とする日米同盟を維持し、継続的にこれを整備することが必要である。」(「第一部の4」)と述べている。

 さらに今次の安保法制懇報告書(2014年5月15日提出)でも、「日米同盟なくして、我が国が単独で上記第1、第2のような状況の変化(注:我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増していることを示す具体的説示)に対応してその安全性を全うし得なことは自明である」(「Ⅰの2」)とされている。

 このように日米同盟は、わが国の存立、安全保障に不可欠であるとの認識が示されている。勿論、安倍首相も、同じ認識を度々示しており、最近では、4月24日日米首脳会談後の共同記者会見で、「日本と米国は、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値を共有し、そして戦略的利益を共有するグローバルなパートナーであります。そのパートナーシップを有する両国の強固な日米同盟は、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎となっています。」と述べたところである。

 このようなことを念頭に置いて想定問答の続きを見て行こう。

問6 国民の生命、自由及び幸福追求の権利が「根底から覆されるという急迫、不正の事態」を含め、昭和47年の政府見解の基本的な論理を維持し、この「基本的な論理に基づく自衛のための措置」というのであれば、他国に対する武力攻撃が発生した場合にこれらの権利が「根底から覆される明白な危険」も、昭和47年の政府見解にいう「急迫、不正の事態」に含まれるということか

・ 「新3要件」の第1要件に当たる事態は、昭和47年の政府見解にいう「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」ということである。

・ 昭和47年の政府見解にいう「急迫、不正の事態」に該当するものとして、従来は「我が国に対する武力攻撃が発生した場合」に限ると考えていたが、現在の安全保障環境においては、我が国に対する武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合であっても、この「急迫、不正の事態」に該当するものがあると判断するに至った。

■注釈

わが国に対する武力攻撃と他国に対する武力攻撃とでは次元を異にする。従来の政府見解は、わが国に対する武力攻撃に対する反撃を自衛権の行使としてきた。何故、他国への武力攻撃に対する反撃が認められるのか全く説明がない。

わが国に対する武力攻撃は、即自的に「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」ことになる。しかし外国に対する武力攻撃が「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという明白が危険となるというのは観念的で理屈の分野の問題であり、何とでも言える。政府の日米同盟に関する上記の認識からは、米国が交戦状態に入れば全てこれを満たすと判断されることになるだろう。

問7 「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」は、「我が国の存立が脅かされ、」といかなる関係にあるのか

・ 国家と国民は表裏一体のものであり、我が国の存立が脅かされるということの実質を、国民に着目して記述したもの(加重要件ではない)

■注釈

「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態」と「我が国の存立が脅かされる急迫、不正の事態」が同じことだと述べている。具体的に、生身の国民の生命、自由及び幸福追求の権利が問題にされているわけではない。これは注目しておこう。

問8 「新3要件」は、いわゆる自衛権発動の「新3要件」なのか、「武力の行使」の「新3要件」なのか

・ 従来のいわゆる自衛権発動の3要件を改めたもの。憲法第9条の下で許容される自衛の措置としての「武力の行使」の「新3要件」である。

■注釈

「新3要件」という言い方は便宜的なもので、厳密には、従来の「自衛権行使3要件」プラス「集団的自衛権行使3要件」と言うべきであろう。具体的には以下のとおりである。

自衛権行使3要件

① 我が国に対する武力攻撃が発生したこと
② これを排除するために他に適当な手段がないこと
③ 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

集団的自衛権行使3要件

① 他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根 底から覆される明白な危険があること
② これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
③ 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

問9 今次閣議決定により憲法上許容される集団的自衛権の行使は、あくまでも我が国を防衛し、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置であり、他国を防衛するためのものではないという理解でよいか

・ 「新3要件」の第2要件にあるとおり、憲法第9条の下で許容される「武力の行使」は、我が国の存立を全うし、国民を守るためのもの。

・ 我が国の存立と国民を守ることと関係なく、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではないが、他国を防衛することがすなわち、我が国を防衛することになるということは想定される。

■注釈

繰り返しになるが、政府は、交戦状態となった米国や米軍を支援することは、わが国の安全の基礎をなす日米同盟を守ることであり、わが国の存立のためやむを得ない措置と判断することになる。

                                 (続く)
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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