14日の衆議院予算委員会集中審議を論評する

 14日、衆議院で「集団的自衛権閣議決定」に関する集中審議が行われた。新聞報道が、質疑応答をどこまで正確に捉えているかは保障の限りではないが、それに基づいて、論評してみることとする。
 中身に入る前に、こういう集中審議は、長時間にわたる与党協議をして、その合意のもとで閣議決定をしたのであるから、与党の自民党、公明党が一人前に質問時間をとってしまうのはいかにも不可思議である。時間が無制限にあるわけではないから、閣議決定成立過程においてカヤの外に置かれていた野党の質問に集中するのが公正・公平な取り扱いではなかろうか。

 さて本集中審議でいくつかの注目すべきことが浮き彫りになった。

 その1。「武力行使3要件」なるものの「これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に、経済的な打撃を受ける場合も含まれること。

 民主党岡田議員の質問に対し、安倍首相は次のように述べている。

 「経済に与える打撃によって多くの例えば中小企業等々も相当の被害を受けることになる。多くの倒産も起こり、多くの人が職を失う状況につながるかもしれない。そういうものも勘案しながら総合的に判断していく。」

 これを読んで満州事変を思い出す人も多いのではないだろうか。例えば関東軍高級参謀であった板垣征四郎は、柳条湖事件直前、「我国ノ経済界ヲ支配スル資本主義ノ立場カラ申シマシテモ勿論テアリマス又無産階級ノ立場カラ申シマシテモ国内ノ富ノ平均ヲ図ルコトカ固ヨリ必要ナル要求テアリマセウカ元来富裕ナラサル我国ノ世帯ノ範囲丈テハ国民全般ノ生活ヲ保証スル根本策ヲ発見セントシテモ結局詰マル外ナイノデアリマス」と満州を確保するための軍事作戦の必要性を説いている(1931年5月29日「満州問題ニ就イテ」)。

 要するに武力の行使の正当化は、こんな類の主張でできるのであり、安倍首相の上記答弁は、こういう類の主張をも排除しないことをつい明かしてしまっているのである。

 その2。同じく上記の「これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に、「日米同盟に深刻な影響を与える場合」が含まれること。

 引き続いて、民主党岡田議員の「日本が集団的自衛権を行使しないと、日米同盟に深刻な影響を与える場合はどうなのか」との質問に、岸田外相は「日米同盟はわが国の平和と安全を維持するために重要。新3要件に該当する可能性が高い。」と答えている。

 私は、論文「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を読み解く」の中で、以下のように指摘しておいた。岸田外相は自白したといってよい。
 http://t.co/yxnv5IdgXW

 「我が国の存立が脅かされ」と「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」とは、 国家安全保障局が作成した「自衛権などに関する政府見解の想定問答集」によると、「国家と国民は表裏一体のものであり、我が国の存立が脅かされるということの実質を、国民に着目して記述したもの(加重要件ではない)」とされている。そうすると結局①は、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされる明白な危険がある場合」ということになり、生身の国民を離れた抽象的、観念的な概念となる。そこで思い出されたい。日米同盟は、わが国の安全保障の機軸、わが国の存立の基盤と安倍政権は説明しているではないか。そこで、米国が、戦争を開始したら、わが国もともに戦わないことは日米同盟を危殆に陥しいれ、わが国の存立を脅かすことになる。従って、当然に、わが国も「武力行使3要件」に基づき参戦を余儀なくされることにある。勿論、地理的限界はないし、他国領域(領海)を除外する理屈を見出すことはできない。

 その3。自衛隊の海外派遣において、自衛隊の活動を行う地域を「支援対象となる他国部隊等が現に戦争行為を行っていない現場」と改めようとすることの危険性がはっきりしたこと。従来は、「現に戦闘が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域」とされていた。
これは共産党笠井議員の質問に対し、安倍首相は「状況が悪化し、支援場所が戦闘現場になれば、支援を中止・中断する」と答え、さらに「閣議決定では戦闘現場に居合わせることを想定しているのではないか」と追及されて「そこが戦闘行為の現場になる可能性はある」と答えた。まさしく戦闘に巻き込まれることを容認しているのである。

 最後に憎まれ口を一つ。公明党の質問はいただけない。この期に及んでも、自分たちは、安部首相の暴走を止めようとしているのだといわんばかりの質問をしている。その質問に対する政府答弁は、いずれも抽象的レベルに終始し、なんとか顔を立ててもらったが、他党の質問に対する答弁で、具体的にそれが全て否定をされ、面目丸つぶれであった。気の毒に、穴があったら入りたい心境ではなかっただろうか。なに、心臓に毛の生えた人たち、蛙の面になんとかだろう。おそまつ!

 

                              (了)

スポンサーサイト
プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR