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国際法事始め その1

 国際法上、他国を守る権利が「集団的自衛権」なる国家固有の権利だとして、大真面目に論じられている。私には、そんな非常識なことがまかり通っていることが、不思議でならない。
 国際法学者は、一体どう考え、どう論じあっているのであろうか。また国際司法裁判所(International Court of Justice以下「ICJ」と略称する。)は、どう判断しているのだろうか。これを解読するために基礎から国際法を学びなおしてみることにした。勿論、事実上、集団的自衛権否認説とでも言うべき私の考え方を、直接的に支持してくれる学説や判例はないだろう。しかし、批判的に読み込んで行けば、私の考えを裏付け、補強する材料を沢山仕入れることが出来るのはなかろうかとひそかに期待しているところである。

 それにしても私は、学生時代、高野雄一教授の講義を聴き、同教授著のなつかしいグリーンの函入りの「国際法概論」(弘文堂)、これもなつかしい有斐閣・法律学全集の田畑茂二郎著「国際法Ⅰ」を読んだが、単位を取るためであったからあまり突っ込んだ勉強はしていなかったし、実務家になってからも、国際法とは縁のないケースばかりを扱ってきたので国際法はスポット的に読む程度のことであった。だから私には、少し荷が重い課題ではあるが、集団的自衛権否認論の賛同者を増やしたいとの一念である。

 まぁ、なんとかなるであろうと気楽に船出してみることとしたい。

 今回、読もうと思っているテキストは以下の7冊である。

①田岡良一「国際法上の自衛権」(勁草書房)
②田畑茂二郎「国際法第2版」(岩波全書セレクション)
③村瀬信也編「自衛権の現代的展開」(東信堂)
④高野雄一「集団安保と自衛権」(論文集・東信堂)
⑤同「国際社会と法」(同上)
⑥森肇志「自衛権の基層-国連憲章に至る歴史的展開 」(東京大学出版会)
⑦C.G.ウィーラマントリー「国際法から見たイラク戦争 ウィーラマントリー元判事の提言」(勁草書房)

 私のスタイルは、読みながら書く、である。誤読したまま書いてしまうおそれもあるが、読んだ直後の新鮮な印象をそのまま表すことができる。失敗、誤読はあとで正せばよい。不定期に、これはと思うところをブログに落としていくこととする。

 では早速、第1回目を始めよう。

 村瀬信也編「自衛権の現代的展開」(東信堂)中の、村瀬氏筆の第一論文は、小渕内閣当時の高村正彦外務大臣の次の国会答弁から始まる。

  「政府は従来より、国連憲章51条は、自衛権の発動が認められるのは武力攻撃が発生した場合である旨規定しているが、武力攻撃に至らない武力の行使に対し、自衛権の行使として必要最小限度の範囲内において武力を行使することは、一般国際法上は認められており、このことを国連憲章は排除しているものではない、こう解してきている・・・」

 高村外務大臣は、何を言わんとしているのであろうか。察するところ、以下のようなことであろう。

 わが国は、自衛権の行使について、①急迫不正の侵害が発生したとき、②ほかに取るべき手段・方法がなく、③侵害を排除するに必要最小限度の武力を行使する、との「自衛権行使3要件」を確立している。ここでいう①の急迫不正の侵害というのは、武力攻撃に至らない程度の散発的な武力の行使などが考えられる。わが国の「自衛権行使3要件」は、国連憲章とは別に存在すると考えられる一般国際法(国際慣習法と言い換えてもよい。以下同じ。)にもとづく自衛権の定義、要件を宣命したものであり、国連憲章とはズレがある。武力攻撃に至らない程度の散発的な武力の行使などを排除するために武力行使をすることは、一般国際法において許容される。そのことを国連憲章も容認している。

 条約と一般国際法との関係については、通常、一般法と特別法の関係にあると言われている。だから一般法、特別法の関係では、特別法が適用され、一般法は後景に退く。さて国連憲章も条約そのものであるから、一般国際法に優位する。してみると高村外務大臣、いや当時の政府は誤った見解を述べたことになるのではなかろうか。1954年に「自衛権行使3要件」を確立した時点から国連に加盟するまでの間であれば問題はないが、小渕内閣の外務大臣としての答弁としては、「自衛権行使3要件」は、国連憲章に即して、「①急迫不正の侵害が発生したとき」は「①武力攻撃が発生したとき」と読み替えられるとするべきであったのである。

 ところで私は、何も、今回の集団的自衛権閣議決定で活躍された高村氏にしっぺ返しがしたくて揚げ足取りをしているのではない。実は、高村氏は、一般国際法上の自衛権とは、上記の「自衛権行使3要件」の定義、要件によるものと認識していたこと、従って、集団的自衛権にわけいることはあり得ない認識状況であったことを言いたかったのである。高村氏は弁護士出身であるから、法律家としての素養はお持ちであろう。そのお方のかっての国会答弁と今回のご活躍ぶりの落差、これはどうやら弁護士の資格を返上なさった方がよいのではないかと思うのであるが、いかかであろうか。
こんなことを言うから私は嫌われるのかな?

 なお、一般国際法上の自衛権と国連憲章51条の関係については、さらに重要な発見をした。一回で書くと、書き手もそうであるが、お読みになる方も頭が痛くなるから、また次の機会にしたい。

 暑いのでのんびり行こう。

                                           (続く)
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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