今、秘密保護法廃止の声を弱めてはならない

 10月14日、①「特定秘密の保護に関する法律」の施行令、②「内閣府本府組織令の一部を改正する政令」及び③「特定秘密の保護に関する法律の施行期日を定める政令」並びに④「特定秘密の指定及び解除並びに適正評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」が閣議決定され、10月17日付官報により①~③が公布された。③には、秘密法の「施行期日は平成26年12月10日と定める。」とある。

 いよいよ秘密法施行待ったなしである。

 今、あらためて秘密法の全条文及び上記④の運用基準を読みなおしてみて、草の根の保守勢力と自民党タカ派とが、1970年代後半から、「スパイ防止法制定」のスローガンのもと、一貫して制定を狙ってきた軍事・外交・治安に関する包括的な「国家機密法」が遂に出来てしまったのだということを実感させられている。同時に、これで彼らの宿願が全て達成されたわけではなく、いわば重要な橋頭堡を確保したという程度に過ぎない、今後必ず、秘密保護法の改悪が進めようという動きが出てくるに違いないとの認識をあらたにした。

 1970年代後半からの草の根保守勢力と自民党タカ派の「スパイ防止法」制定運動は、1985年6月、第102国会(常会)に提出された「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」により、ピークを迎えた。

 同法案は、「外国のために国家秘密を探知し、又は収集し、これを外国に通報する行為等を防止することにより、我が国の安全に資すること」を目的とし、対象となる国家秘密は「防衛及び外交に関する事項等」で、別表において概括的に定めていた。彼らにとっては、このような限定的なものは、戦前の軍機保護法・国防保安法体制からすれば、控え目なものであったであろうが、日本国憲法を持ち、戦後民主主義を経たわが国では、それもやむを得なかったのであろう。

 しかし、同法案は、外国に通報する目的で、もしくは不当な方法で、国家秘密を探知し、又は収集した者で、その探知もしくは収集した国家秘密を外国に通報し、わが国の安全を著しく害する危険を生じさせた者などを死刑、無期とする規定を置き、一般人でも不当な方法により国家秘密を探知・収集したときは10年以下の懲役、一般人の単純漏えいについても5年以下の懲役、国家秘密を取り扱う業務に従事する者の過失漏えいだけではなく、それ以外の自己の業務に関して国家秘密を知得した者についても過失漏えいを処罰する規定を置くなど、広範にかつ軽重まんべんなく処罰しようとする点では、戦前の軍機保護法・国防保安法体制並であった。

 同法案は、第102国会では継続審議扱いとなり、次の同年10月召集の第103国会(臨時会)でも審議入りできず、廃案となった。しかし、彼らはあきらめず、翌1986年5月、対象となる死刑重罰規定をはじめ一般人及び自己の業務に関して国家秘密を知得した者の単純漏えい等処罰規定を削除するなど、やや世論におもねる修正を施した「防衛秘密を外国に通報する行為等の防止に関する法律案」(対象となる国家秘密には、外交に関する事項等が入っており、法案のタイトルは、とんでもないまやかしであった。)を確定、国会提出を策したが、自民党の機関決定が得られず、提出を断念することとなった。

 私たちが直面している秘密法は、憲法前文・9条の平和主義に反し、国民主権に背き、言論・出版・報道、表現、学問研究の自由、知る権利、プライバシー(幸福追求権)、罪刑法定主義とデュープロセス等の基本的人権を侵害するとんでもない悪法である。しかし、戦前の軍機保護法・国防保安法体制からすれば言うは愚か、「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」からも、また「防衛秘密を外国に通報する行為等の防止に関する法律案」からさえも、ずっとずっと控え目な法律である。彼らは、決して、今の秘密法で「撃ち方やめ!」とは宣言しないだろう。

 東京弁護士会は、10月21日、秘密保護法の即刻廃止を求める会長声明を出した。

 これにならい、私たちは、困難な状況の中でも、それぞれの持ち場で、秘密法廃止の声をあげ続ける必要がある。それをやめたとき、彼らは再び立ち上がってくる。 (了)
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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