スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「特定秘密保護法」はテロリストやスパイを相手にしている?

 共同通信(19日0時44分配信)によると、安倍首相は、18日夜のTBS番組で、特定秘密保護法について「テロリストやスパイを相手にしている。国民は基本的には全く関係ない。これは施行してみれば分かる」と指摘し、同法施行によって映画の製作活動が制約されるとの批判が一部で出ている点にも触れ「映画が作れなくなったら、私はすぐ首相を辞めてもいい」と強調したとのことである。

 安倍首相の解散表明の記者会見における発言やその後の一連のテレビ番組で発言は、何かに怯えて吠え立てているような虚ろな響きが感じられるようであった。こういうのはデマゴーグ、とてもまともな検討に堪えるものではない。

 たとえば、消費税率再引き上げ時期を1年半先送りすることを解散・総選挙の理由としたことを、「税制こそ議会制民主主義と言ってもよい。その税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えた」と述べたが、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」第18条3項は、次のように定めている。

 「この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」

 これに基づいて、安部内閣は「その施行の停止を含め所要の措置」を講ずることを負託されているのであって、それは安倍内閣の責務でこそあれ、あらためて解散・総選挙により国民の信を問うべき問題ではない。もし、解散・総選挙をするとすれば、その責務を怠り、誤った判断をしたため国民的糾弾の声が高まり、収拾がつかなくなったときであろう。

 安倍首相の言は、虚空に拡散するばかりである。

 またたとえばアベノミクスの成果として、「われわれが政権を獲ってから、(国民総所得は)プラスになっています。マクロにでは明らかにプラス」、「事実、6割の企業が賃上げしてるんですから」(以上18日の「NEWS23」)、「労働者の賃金はあがっている」、「雇用は増えた」「企業の利益が増えている。これからその成果が表れてくる」(以上18日のNHKニュースウォッチ9)などとも述べている。

 しかし、GDPが、今年度1Q、2Qと6ヶ月間連続して前年度を下回り、いまや景気後退局面に入っていると見るべきであろうし、18日発表された厚労省・毎月勤労統計調査(確報)では、実質賃金指数の前年割れは実に2013年7月以来直近の2014年9月まで連続15ヶ月続いており、雇用も、最新の総務省・労働力調査によれば2012年7月~9月期に比べて2014年7月~9月は、非正規雇用123万人増に対し正規雇用22万人減で、むしろワーキング・プアを拡大しているだけという結果となっている。企業の利益は、資本金10億円以上の大企業は驚くほどの利益をあげ、満腹状態にあるのに一向に吐き出す気配はなく、肥満の度は加速するばかりである。

 安倍首相の言は掃き溜めに吸い取られるばかりである。

 さて頭書の「特定秘密保護法」に関する安倍首相の発言であるが、私は、これを見て、1937年8月制定・改正軍機保護法の、第70帝国議会・衆議院における審議に際し、政府委員として出席して行った陸軍省阿南惟幾兵務局長の次の発言を思い出した。

 「狙いどころは他から来るところのスパイ、極めて稀に本邦人が彼らから唆されてそういうことをやる、ある極めてごく少数の一部、この一、二の欲望のために犯す、こういうのでございまして、他の国民全部は、この味方であり、全力を挙げて国家の不利なることは防ぐという日本国民の特性を十分信頼しての案でございます」

 なんと安倍首相の発言と似通っていることだろうか。

 その軍機保護法は、1937年10月に施行されるや一般の善良な国民に襲いかかったことを、砂川事件伊達判決の裁判長であった伊達秋雄氏が最高裁調査官を務めていた当時に書かれた論文が明らかにしている(伊達秋雄「軍機保護法の運用を顧みて」ジュリスト1954年6月)。

 それによると施行後2年間余りで、受理件数159件、人数280人、うち起訴されたのは31件44人、不起訴127件235人であった。

 これは特高警察や憲兵による軍機保護法濫用の事実を雄弁に物語っていると考えていいだろう。通常、統計データにあがるのは実際に発生した事件の一部であり、氷山の一角であると言っても言い過ぎではない。そのことも加味して推測するに、特高警察や憲兵は、日頃から国民監視の網を広げ、挙動不審者、自己主張をするもの、思想や宗教的に問題があると思うもの、動員や配給不足に不満を漏らす者、とりわけ外国人と接触のある者などを、憶測に基づいて引っ張ってくる、たいしたこともなく純朴に頭を下げればそれで終わる、しかし少しでも反抗的であれば徹底的に絞り上げる、みせしめとして事件をデッチあげる、こういうことがまかりとおっていたと考えられるのである。

 その典型は、北大生宮澤弘幸、ハロルド・レーン、ポーリン・レーンに係る軍機保護法違反事件であった。この件については、当ブログの11月5日欄に紹介したのでご一読願いたい。

 かくて戦前、我が国民が、ただひたすら大本営発表を信じるばかりの卑屈な精神構造を植え付けられたのは、このようにして強権的に耳も口もふさがれたことも一つの原因をなしていたと言えるのである。

 私たちは安倍首相の発言を決して信じてはならない。(了)
スポンサーサイト
プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。