スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

それぞれの「対米平等」志向と現実・・・安倍晋三の場合

 以下は2009年2月11日に行われた「建国記念の日奉祝中央式典」における安倍晋三の講演からの抜粋である。

  わたくしは残念ながら、この占領下にあって、日本はその姿かたちを占領軍の手によってつくりかえられたのだろうと、このように思うわけでございます。憲法ができ、そして、教育基本法ができたわけでございます。
この憲法、そして、教育基本法といった、この時に出来上がった戦後の仕組みをもう一度、根本から見直しをしていって、21世紀にふさわしい日本をわたしたちの手で作っていこうというのが「戦後レジームからの脱却」でございます。
(中略)  
 まあ、総理時代には大変批判も浴びましたし、必ずしも、「わかりにくいじゃないか」と言われて評判も良くなかったわけでございますが、しかし、一年間の短い期間ではありましたが、なんとか、国民投票法、そして教育基本法の改正を成し得たことは、わたくしの誇りとするところでございます。   
まあしかし、まだまだこれからですね。この憲法でございますが、まさに戦後レジームの要であろうと、わたくしは思います。
(中略)
 その中では、当然、今後さらに世界で貢献を果たしていくためには、憲法の改正が必要であろうと思いますし、また、憲法を改正しなくても、たとえば、集団的自衛権の行使の問題がありますね。この集団的自衛権の行使等々の問題について、解決をしなければならないと思います。

 これはアジテーションのたぐいである。安倍は、占領下で作られた日本国憲法とこれに基づく統治体制を「戦後レジーム」と総称し、占領軍に押し付けられた「戦後レジーム」からわが国を脱却させ、その呪縛から解き放つと、声をはりあげ、聴衆の伝統的ナショナリズムをくすぐっている。おそらく、この「建国記念の日奉祝中央式典」に出席している人たちは、国家主義ないしは民族主義に親和的な層であろうから、安倍も心を許して話したのであろうし、きっと出席者らもおおいに溜飲を下げたことであろう。

 だが安倍のこの話は、前提省略、論証省略、結論ありきのまことにしまりのないものなのである。

 安部の話で省略された前提とは、わが国の占領は、何によってもたらされ、占領目的は何であったかということである。いうまでもないことだが、わが国の占領は、軍国主義と絶対主義的天皇制国家であったわが国が、無謀な企てをし、近隣諸国と世界に未曾有の被害をもたらした侵略戦争に敗北したこと、この侵略戦争と戦った連合国に無条件降伏したことにより、開始されたものである。わが国は、ポツダム宣言を受諾し、連合国がその目的を実施するためにわが国を占領することを受け入れた。このポツダム宣言こそわが国戦後改革の羅針盤である。

 ポツダム宣言には次の条項がある。

・ 日本の人民を欺きかつ誤らせ世界征服に赴かせた、全ての時期における影響勢力及び権威・権力は排除されなければならない。従ってわれわれは、世界から無責任な軍国主義が駆逐されるまでは、平和、安全、正義の新秩序は実現不可能であると主張するものである。

・ そのような新秩序が確立せらるまで、また日本における好戦勢力が壊滅したと明確に証明できるまで、連合国軍が指定する日本領土内の諸地点は、当初の基本的目的の達成を担保するため、連合国軍がこれを占領するものとする。

・ 日本政府は、日本の人民の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって障害となるものはこれを排除するものとする。言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重はこれを確立するものとする。

・ 連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従って、平和的傾向を帯びかつ責任ある政府が樹立されるに置いては、直ちに日本より撤退するものとする。

 ポツダム宣言受諾によって、わが国政府は、連合国に対し、ぬきさしならない約束をしたことになる。わが国政府は、平和、民主主義、基本的人権を尊重する国づくり、そのための憲法を制定し、新しい憲法のもとで国家再建に取り組む義務を負うことになったのである。しかるに、旧態依然たる政治思想の持ち主が多数を占める政府は、それをサボタージュし続けた。GHQ側から憲法草案を呈示されることになったのはそれが原因であった。
 その後、わが国政府も、立法府も、また国民も、GHQ草案を積極的に受け入れ、これに基づいて自主的に憲法を制定し、平和と民主主義、基本的人権尊重の戦後憲法体制を作り上げて行ったのである。

 安倍はこのことを省略してしまった。そして戦後憲法体制を「戦後レジーム」などと侮蔑をこめて呼び、それから脱却し、その呪縛を解き放つなどと言う。しかし、何故に脱却し、解き放つのか、論証を省略している。論証すると、結局、米国をはじめ国際社会から指弾され、国際的孤立を招くことになるからであろう。

 その論証とは、結局、ポツダム宣言受諾を誤りとし、無条件降伏を誤りとし、さらにはアジア・太平洋戦争を正当とすることに行き着かざるを得ない。これでは近隣諸国や米国は勿論、世界の世論が沸騰する。
 
 安倍は勇ましいことを言う。しかし、真の姿は、核心部分を省略し、隠してしまう卑怯者である。だから、最後は、米国の許容する範囲にとどまることになる。

 彼は、これまで述べた鳩山、岸、池田の二番煎じ、出がらしに過ぎない。(了)
スポンサーサイト
プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。