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情報監視審査会は国会の変質をもたらしている

 「特定秘密保護法」が施行されるのにあわせて、「情報監視審査会設置法」も施行され、同法に基づいて、衆参両院に情報監視審査会が設置されることになった。

 情報監視審査会の任務と権限は二つある。

 一つは、行政機関の特定秘密運用を監視し、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、運用を改善すべき旨の勧告をすることである。勧告をした場合、情報監視審査会は、行政機関の長に対し、勧告の結果とられた措置について報告を求めることができるとされている。
 もう一つは、国会の委員会(衆院の外務委員会や安全保障委員会、参院の外交防衛委員会など)や参院の調査会などからの要請を受けて、当該委員会等に対する特定秘密の提出の求めに行政機関の長が応じないことについて審査をし、必要があると認めるときは、行政機関の長に対して、当該委員会等に対し特定秘密を提出すべき旨の勧告をすることである。

 以上から明らかなように、情報監視審査会は、単に改善等の勧告ができるにとどまり、行政機関の長に対して、なんら強制力ある措置をとることはできない。

 情報監視審査会は、上記の任務を遂行し、権限を行使するため、必要があるときは行政機関の長に対し、特定秘密の提供を求めることができるが、行政機関の長は、特定秘密の提供に応じない理由を疎明し、情報監視審査会がこの理由を受諾すれば提供を拒むことができることとされている。行政機関の長が示した拒絶理由を受諾できない場合でも、情報監視審査会は、当該特定秘密の提出が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣の声明を要求できるにすぎず、当該特定秘密の提供をさせることはできない。結局、行政機関の長の特定秘密を提出しない理由に合理性がないと情報監視審査会が判断しても、行政機関の長は、特定秘密の提供を拒否できる仕組みとなっているのである。

 衆参両院の情報監視審査会は、それぞれ8名の委員により構成される。その8名の委員は、会派ごとの議席数の割合に応じて割り当てられることとなっている。このため情報監視審査会は、内閣を構成する与党会派の意向が強く反映される構成となり、内閣のもとにある行政機関の長に対する審査・監視機能が十分に発揮されるとは考えにくい。
 
 情報監視審査会が調査対象を把握する端緒として考えられているものは、たとえば有識者会議(情報保全諮問会議)の意見を付した上で政府から提出される毎年の報告(「特定秘密保護法」19条)、行政機関の長・職員、独立公文書監理官、情報保全観察室の職員や参考人から説明聴取、スタッフによる調査、国会の各委員会や調査会からの審査要請、行政機関の長が特定秘密の指定をした場合に作成することとされている「指定に関する記録」(同法3条2項)を取りまとめたものなどとされている。
 しかし、行政機関の内部者からの通報や広く国民から情報提供を奨励し、それを積極的に受け付ける窓口を設置することなどは全く想定されていない。
 これでは情報監視審査会は、掛け声倒れに終わる可能性が強い。

 これだけのことだけなら単に無益なだけでまだ我慢もできようが、もっとだいじなことは、情報監視審査会を設置することにより、逆に、秘密主義の横行と自由な議論の封殺、刑事罰の威嚇、プライバシーの侵害など、言論の府である国会のあり方に大きな害悪をもたらすことが危惧されることである。

 行政機関の長から情報監視審査会に対し、特定秘密が提供されても、特定秘密の閲覧できる者は情報監視審査会委員、各議院が議決で定める者、その事務を行う職員に限定される。

 情報監視審査会の事務に従事する事務局職員は適性評価を受け、特定秘密漏えい等の刑事罰が科されることになる(「特定秘密保護法」23条2項)。

 情報監視審査会委員である議員自身についても以下のように大きな負担を負う。

 議院における活動に関して特定秘密を漏らしても、免責特権の適用があるので刑事罰は科されないものの、議院における懲罰の対象にはなり得る。また議院における活動を離れて、例えば演説会や講演会あるいは記者会見で、特定秘密を漏らした場合には刑事罰を科される(同上)。

 本来、両院の会議は公開であり、秘密会の開催は、個別の案件ごとに、出席議員の三分の二以上の多数で議決した場合に限られている。これは広く会議を国民に公開することにより国会が国権の最高機関としての権限を果たせるようにした重要な原則である。
 会議公開の原則は、国会の魂であり、当然国政調査権の発動においても、可能な限り尊重され、保証されなければならない。ところが情報監視審査会は、常時、秘密会とされており、情報監視審査会委員以外の議員に特定秘密に関する情報が提供されることはない。情報監視審査会委員以外の議員は、そもそも情報自体に接する機会すらないために、ある特定秘密に関連する政府の政策決定の当否について、国会内で自由かつ闊達に議論することができなくなる。
 
 つい最近、国会において衆参各院に設置される情報監視審査会のための審査室の工事が行われた。しかしその工事の内容は秘密のヴェールに包まれている。審査室の場所さえ明らかにされておらず、どうやら盗聴電波などに対するシールドなど秘密防護の工事が進められているようだが、工事業者にもかん口令しかれているそうである。情報監視審査会事務局スタッフについても責任者以外の名前は明らかしないとのことである。名前を明かすとハニートラップで狙われるからだと説明されているそうだ。

 まるで国会内に秘密諜報部門が作られたような印象を受ける。特定秘密保護法によって国会の自殺行為が進んでいるようだ。(了)
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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