ナチス、軍国主義の亡霊をよみがえらせてはならない

 今年は、戦後70年、歴史の節目となる年である。その年頭にあたり、考えてみたいことがある。それは、わが国の国政の舵取りが、狭量で独善的な集団に牛耳られており、このままではわが国は再び国際社会のかく乱分子になってしまうのではないかということである。彼らとは、いうまでもなく「日本会議」であり、いまや彼らは自民党を乗っ取り、ほぼ一色に塗り挙げてしまった。

  「日本会議」とは、どのような団体であろうか。彼らのホームページによると、「私達『日本会議』は、前身団体である『日本を守る国民会議』と『日本を守る会』とが統合し、平成9年5月30日に設立された全国に草の根ネットワークをもつ国民運動団体です。」と説明されており、以下の綱領を掲げている。

一、 我々は、悠久の歴史に育まれた伝統と文化を継承し、健全なる国民精神の興隆を期す。
一、 我々は、国の栄光と自主独立を保持し、国民各自がその所を得る豊かで秩序ある社会の建設をめざす。
一、 我々は、人と自然の調和をはかり、相互の文化を尊重する共生共栄の世界の実現に寄与する。

 また、同ホームページにおいて、彼らは「これまでに、明治・大正・昭和の元号法制化の実現、昭和天皇御在位60年や今上陛下の御即位などの皇室のご慶事をお祝いする奉祝運 動、教育の正常化や歴史教科書の編纂事業、終戦50年に際しての戦没者追悼行事やアジア共生の祭典の開催、自衛隊PKO活動への支援、伝統に基づく国家理 念を提唱した新憲法の提唱など、30有余年にわたり正しい日本の進路を求めて力強い国民運動を全国において展開してきました。」とその実績を誇っている。

  「日本会議」は、このように明確な綱領と行動力を有するまぎれもない右翼団体といってよい。

  「日本会議」は彼らに同調し、彼らの意向に従って行動する「日本会議国会議員懇談会」を傘下におさめている。第三次安倍内閣の閣僚は、19名のうち、安倍首相を筆頭に15名までが、その「日本会議国会議員懇談会」所属しており、これからはずれているのは公明党の太田国交相、宮沢経産相、上川法相、西川農相の4人だけだ。

 ところで「日本会議」は、ナチズムに同調し、戦前の日本軍国主義に同調する団体である。それは次の一事によって明らかだ。

 2011年1月26日、ドイツ連邦議会は、ドイツ・日本の外交関係樹立150周年の節目にあたり、これまでの両国関係の発展を振り返ってその成果を総括し、その上で将来を展望する良き機会とするための決議をした。同決議は、先の第二次世界大戦について、以下のように述べている。

  「ドイツと日本はそれぞれ侵略と征服のための戦争を遂行し、戦場となった近隣諸国の人々に甚だしい惨禍をもたらした。第二次世界大戦は両国にとって1945年の無条件降伏を以て、政治的、倫理的カタストロフィーのうちに終焉を迎えた。」

 わが国でも、同年3月、超党派の「日独友好議員連盟」が、同趣旨の「日独交流150周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議案」を準備した。しかし、同決議案中の「両国は、その侵略行為により、近隣諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え(た)」なる文言に「日本会議国会議員懇談会」に所属する高市早苗議員らがいちゃもんをつけて強く反対、同月31日に予定されていた国会決議採択は見送りとなってしまった。
その後、上記の文言を削除し、以下の案文に手直しをした上で、同年4月22日、衆議院において採択された。

 「今から150年前の1861年、我が国は日・プロイセン修好通商条約に調印し、日本とドイツの前身であるプロイセンとの間に公式な関係が樹立された。
 1871年にプロイセンを中心に統一を達成したドイツは、我が国が近代化に当たり、模範とした国の一つであり、日独両国はお互いに影響を及ぼし合いながら、友好関係を築いてきた。
 両国は、第一次世界大戦で敵対したものの、先の大戦においては、1940年に日独伊三国同盟を結び、同盟国となった。その後、各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至り、両国も多くの犠牲を払った。
 しかし、両国は奇跡の経済復興を遂げ、同時に戦争への反省に立ち、今日、自由、民主主義、人権の尊重という基本的な価値観を分かち合いつつ、世界の平和と繁栄のために緊密に協力している。さらに、両国の国民は、相互の文化と価値観に対する尊敬の念を基礎に、広範多岐にわたる交流を着実に進めている。
 本院は、日独交流150周年に当たるこの機会に、今後とも我が国は、信頼関係に基づくパートナーであるドイツと共に、国際平和の実現に向けて最大限の努力を継続する所存であることを、ここに銘記する。
 右決議する。」

 この決議案に対しても、「日本会議」は、「大災害の対応に全力を尽くすべきこの時期に、問題を含む『日独友好決議(各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけ)』を強引に推し進めることに断固反対します。福島原発事故は未だ終息の目処が立たず、現場では命がけの作業が続けられています。被災地の支援も十分ではありません。復興計画も端緒についたばかりです。全省庁はもとより、官民あげて全力をつくすべき時、国会が早急にやらなければならない課題は山積しています。こうした現状を無視するかのような問題のある決議に取り組むこと事態、国会の見識を疑わざるを得ません。しかも決議文案は、意見のわかれるところが多い歴史観を含みながら一部の関係議員しか知らされておらず、十分に検討された質の高い内容の文章とはなっていません。これで、いきなり本会議に提出されて議決されたところで、本当に友好の心のこもった、国会の総意になるでしょうか。」と述べて反対、これを受けて「日本会議国議員懇談会」に所属する高市議員らが画策、自民党所属衆議院議員約150名のうち約50名が反対もしくは棄権をしたのであった。

 いまや彼らは国会に、彼らに忠誠を誓う安定多数の議員を擁している。戦後70周年の今年、いよいよ憲法9条が危うくなる。ここで踏みとどまらなければ、ナチズム、軍国主義の亡霊が息を吹き返す。(了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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