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テロを憎み、糾弾するのは当然だが・・・

 フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」のパリ事務所が、イスラム過激派と思われるカラシニコフ自動小銃で武装した男二人に襲撃され、発行人のステファン・シャルボニエ氏ら編集幹部、記者、風刺画家ら12人が殺害され、多数がけがを負うという凄惨極まりないテロ事件が発生してから4日たつ。フランスをはじめ、世界各地で、暴力、テロを糾弾する行動が広まっている。勿論、そのような行動には道理がある。たとえどんな理由をもうけても、このようなテロが許されることなどあり得ないことは当然だ。

 しかし、ただ暴力、テロを憎み、非難し、糾弾するだけでは問題の解決にはならない。私たちは、彼らを非難、糾弾するとき、国際社会が、中東とイスラム世界の問題の本質に目をそむけ、「正義」「公正」「人間の尊厳」からかけ離れた対応に終始してきた過去を振り返り、そのことを自省しつつ、おそまきながら中東とイスラム世界に、「正義」「公正」「人間の尊厳」を回復させるにはどうするべきかを模索する決意を伴うものでなければならない。

 被害を受けた「シャルリー・エブド」は、刺激的な風刺画によって反権威、反権力の立場を鮮明にしている新聞で、しばしばイスラム主義を批判したり、揶揄したりしていたそうだ。酷なような言い方になるが、「シャルリー・エブド」は、先進国に普遍化された表現の自由の上にあぐらをかき、その特権を行使して、「正義」「公正」「人間の尊厳」から疎外された人たちを笑い飛ばしていたに過ぎないのではなかろうか。イスラム主義を批判するのであれば、中東とイスラム世界にほかならぬ先進国が作り出した「不正義」「不公正」「非人間性」を、何をおいても批判しなければならなかったのではないか。

 ところで、1月9日付朝日新聞社説は、次のように述べている。

 「イスラム教徒の多いアラブ諸国からも、テロを非難する声明が相次いでいる。国内に過激派を抱える国々が多くあり、テロの拡散は自身にかかわる深刻な問題だ。イスラム諸国の側からも、積極的に実態解明と再発防止の営みに加わるべきだ。
 フランス国内で、特に右翼などがこれを機に、反イスラムの言動を増やす懸念は拭えない。差別や偏見が強まり、ヘイトスピーチのような現象が起きるかもしれない。
 そのような事態に陥らないためにも、イスラム教徒や移民など少数派と多数派市民とが共生できる社会づくりに向けて、取り組みの強化が欠かせない。
 パリだけでなく、欧米各地の主要都市で多くの人々が連帯の集会を開いているのは、心強い反応である。この悲惨な事件を、共生社会の建設に向けた議論が広まるきっかけへと、転じたいものだ。」

 ここに述べられていることそれ自体に異論をはさむ人はいないだろう。いちいちもっともである。しかし、私には、どうもこれは無難に、ことの表面をなぞっているにすぎないように思えてならない。心を打つものがないのだ。

 中東とイスラム世界は、今から100年ほど前、先進国が勝手に国境線を定め(サイクス・ピコ協定)、また先進国がパレスチナの地にユダヤ国家建設を容認し(パルフォア宣言)、後押しし、蹂躙され続けてきた。先進国は、植民地として収奪しつくし、イスラエルは、パレスチナ人を排除し、侵略と膨張により大量の殺害をし、あるいは難民としてただ生きのびるだけの生を強い、湾岸石油産出国においては先進国は石油利権確保のために開発独裁を支援し、1%の王侯貴族のような人々の対極に99%の貧民を生み出している。

 ヨーロッパ各国は、今、1500万人のイスラム人口を抱えているという。フランスに450万人、ドイツに400万人、イギリスに200万人等々。彼らは、ほんの一握りの、オイルマネーを手にした金満家と、大多数の貧しく、疎外され、抑圧された人々とに、二極分解している。金満家たちは、高級住宅に住み、高級ブランド店で高価なものを買い漁り、優雅なレストランで金に糸目をつけず、美食にうつつをぬかしている。そしていまやオイルマネーは、先進国の企業買い占めに注ぎ込まれている。一方、大多数の貧困層は、出稼ぎ労働と不法滞在の沈殿物で、ようやく市民権を得た後も、差別され、屈折した生活を余儀なくされている。

 イラク、アフガンは言うに及ばず、つい最近のことを言えば、昨年、イスラエルのガザ地区攻撃で、2000名をはるかに超えるパレスチナ人が虫けらのように殺されていった。その圧倒的多数は民間人であり、多数の女、子どもも犠牲になった。
 国際社会は、このイスラエルの蛮行にどれだけの抗議をしたであろうか。どれだけの制裁を加えたであろうか。今回の被害者である「シャルリー・エブド」は、どれだけイスラエルに刺激的な風刺画を掲載したのであろうか。

 私たちは、イスラエルが、1969年に「ニクソン-メイヤ秘密協定」によって、アメリカから、秘密のうちに核開発を容認され、NPTに参加することなく、既に多数の核を保有しているのに、イラク、イランが核開発をしようとしていることをそのアメリカに咎められ、イラクが武力攻撃により解体され、イランは永らく武力攻撃の危険に曝されてきたことを、果たして「正義」、「公正」なこととして見逃してはいないだろうか。私たちは、イラク、アフガン、ガザで虫けらのように殺され、犠牲になった人々の「人間の尊厳」を等閑視しておりはしないだろうか。求められるのは、差別、疎外に呻吟している人たちにもあまねく「正義」、「公正」、「人間の尊厳」が行き渡らせることである。(了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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