「7.1集団的自衛権行使容認閣議決定」に基づく法整備の骨格

 「7.1集団的自衛権行使容認閣議決定」は、以下のことを確認している。

1 武力攻撃に至らない侵害への対処
 ① 従来、警察、海上保安庁が対処していたグレーゾーン事態(外国の艦船、航空機、武装集団等のわが国領海、領空における不法行為)に対し、自衛隊も臨機応変に対処できるようにする
 ② 上記グレーソーン事態のうち、安保条約に基づいてわが国の防衛等に係る活動をしている米軍艦船や部隊に対し、武力攻撃に至らない攻撃がなされた場合に、自衛隊が武器使用してこれを制圧できるようにする。

2 国際社会の平和と安定への貢献
 国際の平和と安全を守るための特定国もしくは有志連合国の武力行使、国連による集団的安全保障措置に対する後方支援活動、及びPKO協力活動において、より積極的役割を果たせるようにする。

3 集団的自衛権の行使容認
 わが国密接な関係にある外国に対する武力攻撃に対しても、「武力行使三要件」に基づいて、自衛隊の武力行使することを認める。

 政府・与党は、これらの法整備について、今月下旬以後、与党間で協議を進め、統一地方選後速やかに法案を国会に提出するとの方針を明らかにしている。しかし、実際には、水面下において着々と検討が進んでいるようである。いくつかの新聞報道を総合すると、現時点で、以下のような骨格が浮かび上がっている。

 1①については、当該閣議決定において、新規立法をすることなく、治安出動(自衛隊法78条~81条)、海上警備行動(自衛隊法82条)を発令して行うこと、その命令手続を簡素化して現場の判断で臨機応変の対応ができるようにすること、自衛隊を即時に投入できるように日頃から、警察、海上保安庁との連携を密にし、情報共有をはかることなどが確認されている。これは見方を変えれば、治安、海上警備なる警察活動の武力行使への吸収である。

 1②については、「武器防護のための武器使用」(自衛隊法95条)の規定を、このような場合にも適用できるように、法改正をする。これは米軍と一体となった武力行使へ道を開く。

 2に関しては以下のとおりである。

 まず従来の法体制を見ておこう。まず周辺事態法により、自衛隊は、周辺事態(「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至る事態等わが国周辺の地域におけるわが国の平和と安全に対する重要な影響を与える事態」)において、米軍の後方支援活動をすることが認められている。もっとも、これが認められるのは「後方地域」(「わが国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められるわが国周辺の公海及びその上空の範囲」)なる厳密な場所的限定が付されている。

 上記以外には、特定の事態に対して、後方支援活動のため自衛隊を海外に派遣する必要がある場合には、特別措置法をその都度制定して対応してきた(テロ特措法、イラク特措法)。その場合にも、自衛隊を派遣できる場所について、周辺事態法と同様、後方地域(もしくは非戦闘地域)なる限定(「現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域」)がなされていた。

 さらにPKO協力活動については、武器使用は、正当防衛型が採用されていた。

 これについて、次のように法整備をすることが考えられている。

 後方支援のための派遣・・・有志連合国の国際の平和と安全を守るための武力行使、国連による集団的安全保障措置に対する後方支援活動のため自衛隊を海外派遣することを認める恒久法を新たに制定する。当該法には、自衛隊を派遣する地域として、従来のような「後方地域もしくは非戦闘地域」なる場所的限定を行わず、単に「現に戦闘が行われている地域以外」とするにとどめる(おそらく、これに伴い周辺事態法の「後方地域」の規定も改正することになるのであろう。)。これにより自衛隊の後方支援活動は、現に戦闘が行われてる場所に接着して行われることになる。後方支援活動はまさに武力行使と一体のものとなり、さらには戦闘そのものへと転化する。

 PKO協力活動・・・PKO協力活動自体の妨害を排除するための武器使用、駆けつけ警護を認めるようにPKO協力法を改正する。これはPKO協力活動を戦闘に引きずり込むことになる。

 3については、自衛隊法及び武力攻撃事態法に、「存立事態」(仮称)という概念を新たに盛り込むことが構想されている。「存立事態」(仮称)とは、いうまでもなく「武力行使三要件」の第一要件を要約した概念である。日米同盟のもとで自衛隊は、世界の隅々で、米軍の指揮下に入り戦闘行動を行う時代が切り開かれる。

 自衛隊を文字通り戦闘マシーンとし、海外派兵と世界で戦闘に参加できる体制が、着々と用意されつつある。佐藤優『的を創価学会と平和主義』 (朝日新書)は、空中にゆらめくイリュージョンに過ぎない。決して幻惑されてはならない。(了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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