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「集団的自衛権行使容認閣議決定」は立憲主義に反する その4

 わが国歴代政府の9条解釈をさらに詳しく見ておきたい。もちろん、これらは、「各府・省が立案する法律案、政令案及び条約案を審査して所要の修正を行う審査事務と、種々の法律問題について内閣や内閣総理大臣等に意見を具申する意見事務」を主な所掌事務とする内閣法制局(阪田雅裕『政府の憲法解釈』有斐閣)が、政府の諸施策の憲法適合性をチェックしたり、政府の要請にこたえて一般的見解を明示したりすることを通じて形成されたものであり、内閣法制局の9条解釈と言い換えてもよい。

(1)政府見解は、当初の変遷を経て、1954年7月に創設された自衛隊の合憲性に関すし激しい論争を通じて、①9条1項は国家固有の権能としての自衛権を認めている、②9条2項では戦力の保持は禁止されるが、自衛のための最小限度の実力の保持は認められるとのいわゆる自衛隊合憲説に収斂した。最初に、明確なかたちでこの見解が打ち出されたのは1954年12月22日衆議院予算委員会における鳩山内閣統一見解であった。以下のとおりである。

 「憲法9条は独立国としてわが国が自衛権を持つことを認めている。従って自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のための必要相当な実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない。」

(2)この見解は、当時、野党、労働組合その他国民各層から激しい反発をもって迎えられ、憲法学者からは9条の解釈改憲であって憲法を蹂躙するものだとの手厳しい指弾を受けた。しかし、冷静な目で見るならば、これは、一面では解釈改憲ではあるが、他面ではその限界を設定するという二重の意味を持っていたということができる。すなわち、この見解は、自衛隊の整備・拡充及び運用の根拠となるとともに、その歯止めとしての役割も果たし得るものであったと評価できるのである。それは以下に述べる理由による。
   
 実は、政府が上記自衛隊合憲説を打ち出した1954年12月22日に先立つこと8ヶ月余り、同年4月6日に、自衛権に関する政府見解が示されている。以下のとおりである。
  
 「いわゆる自衛権の限界は・・・たびたび述べておりますように急迫不正の侵害、即ち現実的な侵害があること、それを排除するために他に手段がないこと、さらに必要最小限度それを防御するために必要な方法をとるという三つの原則を厳格なる自衛権行使の要件と考える。」(1954年4月6日衆議院内閣委員会・佐藤達夫法制局長官答弁)

 上記自衛権に関する政府見解は、その後幾度となく、国会において、また政府実践において確認されることになる「自衛権行使3要件」である。

 「自衛権行使3要件」を整理すると以下のとおりである。

①わが国に対する武力攻撃があること
②この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 ①の要件は、わが国に対する武力攻撃が現在していなければならないということであって、単に武力攻撃のおそれがあるというだけでは駄目だということ、他国や他国部隊への武力攻撃は含まれないこと、および海外邦人が危険にさらされているというような場合は含まれないことを意味している。
 ②の要件は、たとえば外交交渉、第三国の仲介、国際機関への提訴など相手国からの武力攻撃を回避するために考慮できる平和的・非軍事的措置を尽くしても攻撃を避けられず、軍事的対抗措置をとる以外に方法がないという場合にはじめて認められることを示している。
 ③の要件は、自衛のための武力の行使は必要最小限度でなければならず、過剰反撃は認められないこと、端的にいえば侵入部隊を領土、領海、領空から撃退することがその限度であるということを示している。

 わが政府見解によると、自衛権とはこのような外延と内包によって定義されたものであるが、それはまさしく前回確認した国際法上の自衛権であり、わが国政府のオリジナルな見解ではない。

 さて自衛隊は、自衛のための最小限度の実力であるというのが政府見解であった。そうすると自衛隊は、上記「自衛権行使3要件」によって定義される自衛権の担い手であり、その自衛権のためにのみ武力行使が認められた存在であって、それ以外には一切武力行使をすることが認められないのである。今、これが自衛隊の整備・拡充及びの歯止めになっているのは歴史の皮肉というべきか。集団的自衛権行使容認は、これに直截に違背し、9条違反のそしりを免れないことになるのである。
 その詳細は次回に述べる。
  (つづく)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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