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「集団的自衛権行使容認閣議決定」は立憲主義に反する その5

 「集団的自衛権」について検討を行うこととする。

 最初に確認しておきたいことがある。それは、「集団的自衛権」なるものが国際法の舞台に登場したのは、国際連合憲章が発効した1945年10月24日以後のことだということである。
 それまでは国際法において、自衛権とは、①自国に対する武力攻撃がなされ、②当該武力攻撃を排除するために他の適当な手段がない場合に、③当該武力攻撃を排除するために必要最小限度の範囲においてなされる実力行使を意味していたことは既述のとおりである。つまり、現在の用語法によるならば、国際法上、自衛権とは、「個別的自衛権」を意味したのであり、憲法9条の下でも自衛権の行使は認められるというわが国の政府見解もこの前提に立っていたのである。

 さて、「集団的自衛権」とは何か。勿論、検討の対象となるのは国連憲章51条である。ややこしいが関連条文を以下に抄録しておこう。

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第2条4項〔武力行使禁止〕
 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

第39条〔安全保障理事会の一般的権能〕
 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。

第41条〔非軍事的措置〕
 安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。

第42条〔軍事的措置〕
 安全保障理事会は、第41条に定める措置では不十分であろうと認め、又は不十分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。
   
第51条〔自衛権〕
 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国が措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基づく権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
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 思い切って上記の各条文を単純化してしまうと、国連は、これらにより武力行使を禁止原則のもとで、その例外として安保理の決定に基づく平和の破壊者に対する措置として実行される武力行使、「個別的又は集団的自衛の固有の権利」=「自衛権」に基づく暫定的な武力行使のみを認めているのである。

 戦後国際法学は、国連憲章51条の「・・・個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って」とあることを捉えて、国際慣習法上も確立していた従来の自衛権(即ち「個別的自衛権」)とは別に、新たに国際条約法上「の集団的自衛権」なる概念が認められることとなったと理解した。

 それは、実は、おおいなる誤りであったと私は解するのであるが、そのことは次回に述べることとする。

※ 注:国際慣習法とは、一般的に諸国家を拘束する規範的効力を認められる法原則、国際条約法とは文字通り条約上の定めそのものをいい、本来は、締約国のみを拘束するが、これが国際社会に定着し、締約国以外にも拘束力を及ぼすほどに法的確信に裏打ちされるようになれば、国際慣習法となる。
(つづく)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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