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アフガン国際治安支援部隊(ISAF)について (2)

 佐瀬昌盛氏や小川和久氏の朝日新聞2014年6月15日付朝刊記事に対する批判は、ISAFが、2001年12月の国連安保理決議1386号により、その設置が承認され、オーソライズされたものであるという形式面を捉え、これを集団的自衛権と混同するような記事はミスリードであり、国連の集団的安全保障措置であることを明確にするよう訂正されなければならないというものである。

 アメリカ軍とNATO諸国軍によるアフガン攻撃開始後、それらの大規模な空爆とアフガン国内の反タリバーン政権勢力と連携した圧倒的軍事力による地上攻撃の結果、2ヶ月足らずでタリバーン政権は崩壊し、その組織的反撃は収束した。それを見はからうかのように、同年11月、国連事務局は、アフガンの反タリバーン政権勢力4グループを招いて、ドイツ・ボン郊外において国際会議(ボン会議)を開催した。そして同会議において、アフガン暫定政府の樹立とISAF等の設立が合意されたのであった(ボン合意)。
 安保理決議1386号は、このボン合意を受けて、国連の統括のもとにISAFを設置することを承認し、「・・・(安保理は)アフガニスタン情勢が依然、国際の平和と安全に対する脅威であると断定し、ボン合意によって樹立されたアフガン暫定行政機構と協議しつつ、国際治安支援部隊のマンデートの全面的な履行を保障することを決意し、これらの理由に基づき国際連合憲章第7章のもとに行動する」と宣命している。

 確かに、アフガン戦争の全経過からこれだけを切り取るならば、ISAFは、国連憲章第7章に基づく、安保理の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」、即ち安全保障措置であると言えそうだ。しかし、アフガン戦争の全経過の中で、ISAF設置を考察するならば、必ずしもそうとは言えなくなるのである。

 アル・カーイダによる9.11同時多発テロの翌日、ブッシュ大統領は、テロとの戦いを宣言し、イスラム過激派に対する憎悪と復讐心に沸き立つ国民の拍手喝采を浴びた。
 一方、国連では、同日、安保理において、決議1368号採択された。アメリカ国民に対する深い哀悼の意を表明した同決議は、被害を受けたアメリカ国民への思い入れから誤解を生む表現がなされた部分もあったが、冷静に読むならば、決して加盟国に対して、アル・カーイダへの武力行使を呼びかけたものではないことは明瞭で、同時多発テロ事件を厳しく非難し、テロ犯罪者を法に照らして処罰すべことを訴えるとともに、テロ行為を防止・抑止するための一層の努力を加盟国に呼びかけたに過ぎないものであった。ましてや同決議からアフガンのタリバーン政権に対する武力行使を引き出す余地は寸毫もなかった。
 国連においては、引き続いて、同月28日には安保理決議1373号、11月12日には安保理決議1377号が採択されたが、それらも到底、タリバーン政権に対する武力行使の根拠となり得るものではなかった。

 しかるに、ブッシュ政権は、テロ犯罪者の処罰という安保理が設定した枠を逸脱し、自国軍隊とNATO諸国軍を、テロとの戦いを標榜してアフガンのタリバーン政権に対する武力攻撃に動員し、同年10月7日、ついに「不朽の自由作戦」なる今日の中東における混乱の出発点となる最悪の愚行を開始したのであった。この武力攻撃は、国土の9割を実効支配するタリバーン政権を抹殺しようとするもので、アフガニスタンに対するあからさまな侵略であり、それを、アメリカは、単独で侵略者となる汚名を少しでも打ち消そうとして、NATO諸国軍を巻き込んで遂行したのである(ドイツ軍は、直接戦闘には加わらず、兵站活動に従事した。なお、NATO諸国は、アメリカに対する集団的自衛権の行使を名目としたが、ここでも集団的自衛権は侵略の便法として使用されていることに留意したい。)。

 この侵略によって、瀕死の状態にあったアフガンの反タリバーン政権勢力が助け起され、前述のとおり、ボン会議に招請されたのである。しかし、彼らは、実際には、アフガン国民からは支持されておらず、言ってみれば傀儡に過ぎなかったのである。しかも、アメリカは、タリバーン政権側の組織的抵抗が収束した後も、陸軍と空軍の計2万人をアフガン国内に駐留させ、対テロ作戦と称してタリバーン政権側の武装勢力に対する索敵・戦闘を継続していた。

 このような時点で国連事務局がボン会議を開催し、ボン合意を成立せしめたことは不可思議というほかはない。国連のとるべき措置は、アメリカとNATO諸国軍の行動は国連憲章2条4項に反する武力行使であり、侵略の定義に関する国連総会決議にいうところの侵略にあたることを宣言し、直ちに戦闘行動を停止し、軍隊をアフガン国内から撤退すべきことを勧告することであった。それと正反対の取り組みを容認した安保理決議1386号は国連憲章に違反し、国際立憲主義に反するものであった。よって、事の本質を見れば、国連は、安保理決議1386号により、自ら侵略に加担する集団的自衛権行使に踏み切ったものと厳しく批判をされなければならない。

 実際、その後のISAFのアメリカ軍や暫定政府にまとめ上げられた現地反タリバーン政権勢力と一体となったアフガン国内における武力行使は、アフガンを疲弊させ、テロリズムの温床を増殖・拡大させ、中東を混乱の坩堝と化す一因となったのである。
 かくしてISAFは、国連憲章第7章の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」の名を汚すもの、決して集団的安全保障措置として正当化されてはならないのである。
                               (了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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