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憲法9条3項加憲案の「深層」

 安倍首相の憲法9条3項加憲案には、一分の道理もないことはお分かり頂けたと思いますが、彼なりの小賢しさはあったようです。

 5月23日のデジタル版産経ニュース『ニュースの深層』(以下「本記事」という。)は、安倍首相の憲法9条3項加憲案の背景事情を説明しています。

 本記事によると、そのでどころは、評論家・保守系シンクタンク「日本政策研究センター」代表・「日本会議」常任理事(政策委員)の伊藤哲夫氏が、「日本政策研究センター」の情報誌「明日への選択」昨年9月号に書いた論文にあるようです。

 伊藤氏は、その論文で、憲法9条1項、2項をそのままにして、3項として「但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」とする条文案を示しています。

 本記事は、「伊藤氏は首相のブレーンと報じられることもあり、首相はその国家観や政策を信頼しているとされる。伊藤氏の論文発表と、首相が側近議員らを通じて公明党に自衛隊加憲案を打診し始めた時期は一致する」と指摘し、さらに以下のように深掘りしています。
 
  「首相と近い憲法学者の八木秀次麗澤大教授は『戦力不保持と自衛隊の存在の整合性をどう表記するかなどクリアすべき課題はある』としながらも、『現状追認だが、憲法改正を一度経験するという意味でも自衛隊加憲は何歩か前進だ』と述べ、憲法改正の展望が開けたと評価する。」
  「首相がビデオメッセージを寄せた『公開憲法フォーラム』の主催団体の一つである『民間憲法臨調』(櫻井よしこ代表)の関係者は『メッセージの内容を事前に知らされていなかったので、首相が9条2項改正ではなく加憲を言って驚いた』としながらも、『緊迫した東アジア情勢を考えると、建て替えより、まず耐震補強をという考えは支持できる』と賛同する。」
  「民進党幹部も同じことを発言してきた。前原誠司元外相は昨年の党代表選で、9条3項で自衛隊を位置付けるべきだと提案。党の憲法調査会長を務める枝野幸男前幹事長も平成25年に『自衛権に基づく実力行使のための組織』を規定すべきだとした私案を文芸春秋で発表した。」
 「(民進党)代表代行を先月辞任した細野豪志元環境相は4日のブログで『“違憲かも知れないが命張れは無責任”との総理のコメントには、一理ある。9条2項までを維持して自衛隊を明記するというのも、これまでの自民党と総理のアプローチからすると柔軟だ。私も、いつかは憲法に書かなければならないと考えている』と書いた。」


 「維新の会」の名前は出てきませんが、既に、この党が安倍首相の第五列であることは、誰しも認めるところでしょう。

 安倍首相は、極右・超保守勢力の後押しで、自民、公明、維新、民進の一部の大連合による圧倒的多数の賛成を得て、9条に3項を追加するという、如何にも無害そうな憲法「改正」案(教育の無償条項案も抱き合わせにして)を発議し、国民の反対の矛先をかわしつつ、まずお試し改憲をやる、そして今度はそのどうしようもない坐りの悪さをあげつらって、9条2項の書き換えと、3項による国防軍創設へと誘導する、そんな小賢しさが透けて見えます。

 私は、これを称して猫だまし改憲案だと言いたいと思います。

 伊藤論文で示された「但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない」との3項例文は、私が示した例文と同様に、あらたな異論が噴出すること必定ですが、なお性質(たち)が悪い代物です。何故なら、「確立された国際法に基づく自衛」とすれば、他国防衛のための集団的自衛権の全面的容認を含意するからです。

 私たちは、安倍首相の下で、かってない民主主義の危機、憲法の危機を迎えています。まさに、今が正念場、それに打ち克つ力を、下から構築していくことが求められていると思います。
                               (了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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