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これはおかしな話だ

 「安全保障法制整備に関する与党協議会」に関する話だが、おかしなことがある。

本日(2014年6月10日付)「朝日」紙朝刊で、大要次のように報じられた。

「政府は、『自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置を認める』という閣議決定案を準備している。これは1972年に田中内閣が示した見解の一部を採用したものだ。」
「これについて、安倍首相は、9日の参院決算委員会で、『この中に個別的自衛権は入るが、集団的自衛権は丸ごと入らないということだった。しかし果たしてそれがすべて入らないのかについて研究している』と語った。」


これを読むと、もともと反対の人は「けしからんな」、もともと賛成の人は「そうか」で終わってしまうだろうし、さらにもともとよくわからない人はますますわからなくなってしまうのではなかろうか。

「いや、私はよくわかったよ」という人。あなたはよほどの精通者だ。

その後、共同通信が、14時59分に次のニュースをネット上で配信した。

「内閣法制局が、集団的自衛権行使を限定的に認めて憲法解釈の変更を提起する閣議決定の原案を了承していたことが10日、分かった。安倍晋三首相が今国会中の解釈変更を目指していることを踏まえ、『憲法の番人』として政府内で歯止め役を担ってきた法制局が、行使容認への方針転換に踏み出す。政府関係者が明らかにした。
 閣議決定原案は集団的自衛権行使を『わが国の存立を全うするために必要な自衛の措置』として容認する内容。9日に政府側が自公両党幹部に非公式提示した。」

これを読んでようやくもやもやが解消した。どうやら礒崎陽輔安全保障問題担当首相補佐官をはじめとする官邸サイドと内閣法制局との間で協議して、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置を認める」ことにより集団的自衛権行使にも踏み込むことができるようにする、との閣議決定案を練り上げ、自民、公明両党に非公式に提示した、安倍首相はこれに手ごたえを感じている、こういうことのようだ。

そういうことがわかると、安倍首相が、今国会中に閣議決定をすると突然表明し、与党協議会を急がせたこと、及び、集団的自衛権行使8事例について、かたや、集団的自衛権行使を認めなければ対応できないから集団的自衛権行使を認めるべし(これはトートロジーで結論だけしか述べていない)、こなた、いや個別自衛権の範疇で対応できる余地がないか検討するべきだなどと世にも不可思議な議論をしている(これの正しい答えは集団的自衛権行使は認められない、である)こと、これらの裏も読めてくるようだ。

「安全保障法制整備に関する与党協議会与党協議会は、猿芝居、茶番だ。

さて、伝えられる閣議決定案、1972年の田中内閣の示した見解の一部をパクッてきたとのことだが、参考までに田中内角見解の全文を引用してみよう。

「憲法は、第9条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において『全世界の国民が・・・・平和のうちに生存する権利を有する』ことを確認し、また、第13条において『生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については・・・・国政の上で、最大の尊重を必要とする』旨を定めていることからも、わが国みずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるのであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にととまるべきものである。そうだとすれば、わが憲法の下で武力行使をすることが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られるのであって、したがって他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない。」(1972年10月14日参議院決算委員会提出資料)。
 
伝えられる閣議決定案なるものを作成した人たちは、アンダーラインの箇所にいたく感動したようだが、これは単なる枕詞、重要な部分は太字で示した部分だ。これこそまさしく確立し、定着している「自衛権行使三要件」、つまり自衛権の定義と要件なのだ。

安倍さん、もう国民をだますのはよそうではないか。

                    (了)

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非公開コメント

とてもわかりやすく、視界が晴れました。

徹さん、はじめまして。
レアと申します。

集団的自衛権について、これまでにも考えてきましたが、
この記事の最後の、「安倍さん、もう国民をだますのはよそうではないか。」という言葉にいたく感動しました。

拙ブログに転載させていただきたく、お願いに上がりました。
どうかよろしくお願いします。

Re: とてもわかりやすく、視界が晴れました。

お読み頂きありがとうございました。

転載了解です。よろしくお願いします。
プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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