国家安全保障基本法案 (概要)は安倍政権のロードマップである

 自民党は、2012年7月4日、国家安全保障基本法案(概要)を策定し、2012年12月・衆院選及び2013年7月・参院選で、国家安全保障基本法を制定することを選挙公約に掲げて選挙戦を戦った。
 自民党は、いずれの選挙にも、「勝利」したのであるから、いつでも国家安全保障法案を国会提出できるフリーハンドを得ているわけだが、安保法制懇の報告書を提出させ、与党の一員である公明党との調整をし、他方で準与党ともいうべき維新、みんな(及び結い)の動向を見定めてから、味付けをしようと虎視眈々の構えである。

 しかし、安倍政権発足後の1年半の実績を見ると、実は、国家安全保障基本法案(概要)に書かれていることがなし崩し的に実現し、もしくは実現されようとしており、同法案(概要)は、安倍政権の安全保障政策のロードマップとしての役割を果たしていることがわかる。
 
具体的に見ていくと以下のとおりである。

1 秘密保護法制(第3条第3項)

国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる。

上記については、昨年12月6日、特定秘密保護法が制定され、本年12月13日施行を目ざして着々と準備作業が進められている。

2 国家安全保障に関する基本計画等(第6条第1項)

政府は、安全保障に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国の安全保障に関する基本的な計画(以下「安全保障基本計画」という。)を定めなければならない。

別途安全保障会議設置法改正によって
・安全保障会議が安全保障基本計画の案を作成し、閣議決定を求めるべきこと
・安全保障会議が、防衛、外交、経済その他の諸施策を総合するため、各省の施策を調整する役割を担うこと
を規定。

上記については、昨年11月27日、従来の安全保障会議設置法の改正する国家安全保障会議設置法が成立、それに伴い、12月4日、従来の安全保障会議が国家安全保障会議に再編され、本年1月7日、国家安全保障会議の事務局である国家安全保障局が発足した。また昨年12月17日、国家安全保障会議及び閣議において、従来の「国防の基本方針」にかえて「国家安全保障戦略」、これを踏まえた「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」が決定された。

「国家安全保障戦略」には、「我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ」として ①我が国自身の能力・役割の強化・拡大、②日米同盟の強化、③国際社会の平和と安定のためのパートナーとの外交・安全保障協力の強化、④国際社会の平和と安定のための国際的努力への積極的寄与、⑤地球規模課題解決のための普遍的価値を通じた協力の強化、⑥国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解促進、などが定められている。

3 武器輸出の解禁(第12条)

12条1項 国は、我が国及び国際社会の平和と安全を確保するとの観点から、防衛に資する産業基盤の保持及び育成につき配慮する。

12条2項 武器及びその技術等の輸出入は、我が国及び国際社会の平和と安全を確保するとの目的に資するよう行われなければならない。特に武器及びその技術等の輸出に当たっては、国は、国際紛争等を助長することのないよう十分に配慮しなければならない。

上記は本年4月1日の閣議決定により、武器輸出三原則を事実上撤廃、防衛装備移転三原則を決定したことにより実現することとなった。

新三原則によると、①国際条約の違反国などには輸出を禁止する、②輸出を認める場合を限定し、厳格に審査し情報公開する、③目的外使用や第三国への移転が行われないよう適正管理するなどとされており、原則禁止から原則解禁となり、個別事案について問題事案をチェックするといことで、う原則、例外が逆転することになった。

4 集団的自衛権(第2条第2項4号、第10条)
 
第2条第2項4号 国際連合憲章に定められた自衛権の行使については、必要最小限度とすること。

第10条 第2条第2項第4号の基本方針に基づき、我が国が自衛権を行使する場合には、以下の事項を遵守しなければならない。
一 我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること。
二 略
三 略
四 一号に定める「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃については、その国に対する攻撃が我が国に対する攻撃とみなしうるに足る関係性があること。
五 一号に定める「我が国と密接な関係にある他国」に対する武力攻撃については、当該被害国から我が国の支援についての要請があること。
六 自衛権行使は、我が国の安全を守るため必要やむを得ない限度とし、かつ当該武力攻撃との均衡を失しないこと。

上記については「安全保障法制の整備に関する与党協議会」において協議中である。

5 集団的安全保障等(第2条第2項1号、第11条)

第2条第2項1号

国際協調を図り、国際連合憲章の目的の達成のため、我が国として積極的に寄与すること。

第11条

我が国が国際連合憲章上定められ、又は国際連合安全保障理事会で決議された等の、各種の安全保障措置等に参加する場合には、以下の事項に留意しなければならない。
一 当該安全保障措置等の目的が我が国の防衛、外交、経済その他の諸政策と合致すること。
二 予め当該安全保障措置等の実施主体との十分な調整、派遣する国及び地域の情勢についての十分な情報収集等を行い、我が国が実施する措置の目的・任務を明確にすること。

本条の下位法として国際平和協力法案(いわゆる一般法)を予定。

上記についても「安全保障法制の整備に関する与党協議会」において協議中である。

まさに嵐である。しかし、黙って嵐が通り過ぎることを待つことはできない。ストップをかけるのは、一人ひとりの声。小さな声でも、まずノーと言おう。

                                           (了)

※本稿は、国家安全保障基本法案(概要)の全容を明らかにしたものではなく、ほかにも国・地方公共団体の責務、国民の責務など憲法改正を必至とする条項がある。以下参照。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-137.pdf
                      

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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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