「『武力行使3要件』に関する誤った説明を排す」をめぐって

当ブログの7月30日付記事「『武力行使3要件』に関する誤った説明を排す」に関し、非常にいいコメントを頂いた。理解を深めるために紹介に値するコメントだと思うので、これを全文掲載したい。

はじめまして。最近木村説が一部で注目の的ですので、それに関連して、理論的な点での質問失礼します。

木村先生の論旨は9条及び73条の下で集団的自衛権行使が認められないことを前提に、それと整合的に閣議決定を理解するのであれば、個別的自衛権でも説明できる部分に限って認めたに過ぎないとするものだと要約できると思います。木村先生が「重なり合い」の話をした後、「政府答弁は閣議決定の範囲を逸脱している」と説明されるのはこの趣旨だと思います。

他方、深草弁護士の御説明は、本閣議決定は集団的自衛権の意義について述べたかつての有力学説に由来するものであるから、集団的自衛権を認めたものなのだという見解だと拝見しました。そうすると、本閣議決定のうち、集団的自衛権を認めた部分の違憲無効が帰結されるということでしょうか。
そうした場合、政府はグレーゾーンまたはPKO関係及び個別的自衛権について、新たに閣議に基づき法制化することを許されることになるので、結局個別的自衛権の部分のみ認められるという木村説と同趣旨ではないかと思いました。

つまり、私の理解では、木村説は「集団的自衛権」という閣議決定の文言を9条及び73条に照らして合憲限定解釈するものだと考えています。そして、合憲限定解釈も違憲部分を確定しているので(合憲とされた部分以外違憲)、これが木村説だとすると、単に結論が同じという意味ではなくて、部分違憲を主張される深草弁護士の説との違いが見出せないと思ったのです。従って、木村説が間違っていると断定できないのではないかと。

長々と失礼しました。御見解を伺えれば幸いです。2014-08-03 01:44


上記コメントに対する私の回答は以下のとおりである。これも参考のために掲載したい。

Re: 質問コメント拝見するのが遅れ、申し訳ありません。

私も、木村見解を公明党や政府見解と同列には見ていません。政府のプラクティスを限界づけようという意図は承知しています。その上で、それでも間違いではないかと申し上げているのは、閣議決定の目的、客観的意義を軽視するものだと思うからです。また、それは公明党、政府の詭弁を応援する客観的役割を果たすことを危惧しているからです。
私は、憲法上、かろうじて認められるのは「自衛権行使3要件」、領域的な意味での専守防衛の範囲の個別的自衛権(私はそもそも国際法上の自衛権とは、個別的自衛権のみである、いわゆる集団的自衛権は認められないと思います。従って集団的自衛権、個別的自衛権という用語は使いたくないのですが、それを言い出すとややこしくなりますから、別途、「国際法事始め」の中で書くことにしいたいと思います。それはともかくとして)であると考えます。ですから閣議決定は憲法9条に違反するので、それに基づくプラクティスは、無効であると解します。そのように解した上で、閣議決定は認められないと、反対運動をするべきだと思います。

木村説は、閣議決定は、憲法に反しない範囲で策定したものだという説明です。しかし、それは政府、与党の真意に反しています。限定解釈をした上で、というよりも閣議決定を起草した官僚の意図は、もともとそうだと言って、政府のプラクティスを縛るというのは技巧的に過ぎるのではないでしょうか。彼らにとって、集団的自衛権容認こそがかれらのアルファでありオメガであるからで、官僚の意図云々は関係ないことです。また官僚の意図も、外務官僚と内閣法制局官僚の意図は違うでしょう。むしろ前者が主導的で、集団的自衛権を認めることに主眼があると思います。
                       
                                                         (了)
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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