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戦後憲法9条解釈論争・米国に尻尾をふった最高裁長官(その4)

 1959年6月11日、砂川事件は、最高裁第一小法廷から大法廷へ回付され、田中長官を裁判長とする15人の裁判官の合議体で審理されることになった。
 大法廷回付後も、田中長官、斎藤裁判官による居丈高な迅速審理の押し付けが執拗になされた。斎藤裁判官に至っては「上告趣意の論点はすでに新聞雑誌等で論じつくされており、当裁判所にも明らかであるから、弁護人らの答弁書はできるだけ簡単なものに止めてほしい。検察官にも、上告趣旨書は箇条書き程度のものでよいから早急に提出するように言っておいた。」などと事前交渉に赴いた弁護団にうそぶき、既に結論は決まっているのだと言わんばかりの態度であった。
 しかし、全国から馳せ参じた約300名の弁護士から成る弁護団は、毅然と対応し、田中裁判長、斎藤裁判官に対し、忌避申立てをするなど法的に認められる権利行使を敢然と行使し、弁護人数の制限を取り消し、答弁書提出期限を8月5日へと変更、弁論期日を9月中に6開廷確保など、彼らの当初の目論見を押し返したのである。

 第1回弁論期日は9月7日(月)の午後であった。弁護側トップバッターに、海野晋吉主任弁護人(弁護団長)が立ち、「われわれは何を主張せんとするのか」と題して、総括的な弁論を行った。その後18日(金)の午前に、大阪弁護士会所属の弁護士毛利与一弁護人が「公平な裁判所」と題する弁論で締めくくるまで、26名の弁護人が弁論を行った。これらの弁護人の名前を見ると、いずれも法曹として名を成した一流の人物ばかりである。
 因みに弁護人真野毅は、9月16日(水)の午後に、「政治的、行政的裁判を排す」と題する弁論を行っている。

 9月18日、弁論終結後、記者会見に応じた田中長官は、判決時期の見通しについて「これからの合議のスケジュールについては、ひといき入れてから予定を立てたいと考えているが、判決言い渡しがいつごろになるかは合議の進行状況にもよることであり、いまのところ予測できない。(中略)なお合議は速やかに集中的にやりたいと思う。」と語ったとのことである(9月19日付「朝日新聞」朝刊)。判決予定日など口が裂けても言えないことなのである。だが彼はそれを在日米国大使館主席公使レンハートにべらべらしゃべっていたことは既に述べたとおりである。

 その記者会見から約1ヵ月半経過した11月初旬、おそらく合議も最終盤を迎えていたころに、田中長官は、またもやマッカーサー大使と密談をした。11月5日、米国大使館から国務長官に送付された「極秘」公用書簡には以下のように記されている。

 「田中最高裁長官との最近の非公式の会談のなかで、砂川事件について短時間話し合った。長官は、時期はまだ決まっていないが来年のはじめまでには判決を出せるようにしたいと言った。彼は、15人の裁判官についてもっとも重要な問題は、この事件に取り組む際の共通の土俵をつくることだと見ていた。できれば15人の裁判官全員が一致して適切で現実的な基盤に立って事件に取り組むことが重要だと、田中長官は述べた。裁判官の幾人かは『手続き上』の観点から事件に接近しているが、他の裁判官は『法律上』の観点から見ており、また他の裁判官は『憲法上の観点から問題を考えている、ということを長官は示唆した。
 (裁判官のうち何人かは、伊達判事を裁判長とする第一審の東京地裁には、合衆国軍隊駐留の合憲性について裁定する権限はなく、自己の権限と、もともと基地への不法侵入という事件について、地裁に提起された特有の争点を逸脱しているという、狭い手続き上の理由に結論を求めようとしていることが私にはわかった。
他の裁判官は、最高裁はさらに進んで、米軍駐留により提起されている法律問題それ自体に取り組むべきだと思っているようである。
 また、他の裁判官は、日本国憲法のもとで、条約は憲法より優位にあるかどうかという大きな憲法上の問題に取り組むことを望んでいるかもしれない。)
 田中最高裁長官は、下級審の判決が支持されると思っているという様子は見せなかった。反対に彼は、それは覆されるだろうが、重要なのは15人のうちできるだけ多くの裁判官が憲法問題に関わって裁定することだと考えている印象だった。こうした憲法もんだいに下級審の伊達判事が判決を下すのはまったく間違っているのだと、彼は述べた。」

 まったく、よくもここまでペラペラしゃべるものだ。
                                (続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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