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イスラム過激派武装集団に参加するのは「戦いたいから」という人たち

 「イスラム国」に加わる目的でシリア渡航を企てた学生らが「私戦予備及び陰謀」(刑法第93条)の容疑で取り調べを受けている。

 刑法第93条は次のように定めている。

  「外国に対して私的に戦闘をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁固に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する。」

 弁護士生活37年の間、一度も見たこともない条文である。

 前田雅英『刑法各論講義[第2版]』(東京大学出版会)をひもといてみたら、「外国に対して私的に戦闘をする目的」とは、国の命令によらず、外国に対し組織的な武力攻撃を行う目的ということ、予備は兵器の調達や兵士の訓練等、外国との戦闘行為一般をさし、陰謀とは、私戦の実行をめざして複数の者が犯罪意思を持って謀議することだと書かれていた。たったこれだけの解説である。

 まさに適用されることが殆ど想定されていないように思えるよう淡白な記述。

 情報は非常に少ない上にどこまで信じていいかわからない状況であるが、これらを読むと、くだんの学生らの行動が、はたしてこの犯罪構成要件に該当するかどうか、簡単には決め付けられないようだ。どうも警察当局の動きは、イスラム国への参加を水際で阻止することを最優先した過剰な措置のように思われる。

 しかし、私は、そのことについて特に関心を持っているわけではない。

 イスラム国は、シリア、イラクを含むイスラム世界に存在する全ての国家を、武力をもって解体し、単一の厳格なイスラム国家を建設することを明確な目的とするイスラム過激派の中でも、最も原理主義的かつ非妥協的な組織で、アル・カーイダをも侵略者に屈服したとして激しく非難をしているほどに非妥協的で、他派からも孤立しているとのことだ(世界8月号の高岡豊氏のレポート)。

 何故、こんな集団に参加しようとするのか。私はそのことに関心がある。

 そのようなイスラム国に参加するのは、貧困、抑圧、差別により出口のない生活を余儀なくされ、イスラム原理主義に救いを見出した人々ではないかと私は考えていた。ところが、くだんの学生らは、報道から知られる限りでは、どうもそういう人ではなさそうだ。

 かって70年代には、「世界革命」なる途方もない夢を追いかけて、中東に、あるいは朝鮮にその拠点を作ろうとした人たちがいた。くだんの学生らは、そのような誇大妄想を抱いていたわけでもなさそうだ。

 そうだとすると一体何が彼らを駆り立てたのだろうか。

 そう思っていたら、今日(9月7日)のNHK・「ニュースウォッチ9」で、別のイスラム過激派に加わり、戦闘に加わって若者が登場し、「戦いたいから」参加しただけだ、政治的な思想は何もない、とあっけらかんと語っているのを見た。これは驚きであったが、同時に、くだんの学生らの行動の動機にもある程度類推することができた。

 反米、反体制、あるいは正義感、使命感、政治的もしくは宗教的信念等々。どうもそういうきらびやかなものではないようだ。エスタブリッシュメントに対する報復感情、鬱憤晴らし、あり地獄からもがきはいあがろうとする心情等々。どうもそういう鬱々たるものとも違うようだ。

 「戦いたいから」参加する。それは武器を使用して、敵を倒したいというに過ぎないように思われる。バーチャル空間におけるゲームとしての戦闘に加わる。少数ながらこういう人たちがいるということは厳然たる事実である。

 私たちは、彼らを非難することはできない。これはこの社会の病理現象なのだ。

                                 (了)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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