スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

自由、尊厳、「表現の自由」に関するメモ

 14日、仏週刊新聞「シャルリー・エブド」が、テロ事件に屈せず、「表現の自由」を断固として守ることを表明して、イスラム教の預言者ムハンマド風刺画をはじめ、イスラム風刺「特別号」を発行した。

 報道(1月15日05時00分配信の朝日新聞デジタル)によると、「特別号」は通常通り16ページあり、以下のようなものであったという。

 表紙には「すべてが許される」というタイトルで、涙をうかべる預言者ムハンマドの風刺画が描かれている。胸の前で連続テロに抗議する合言葉「私はシャルリー」が書かれたプラカードを掲げている。中面では、「聖戦」を実行する「ジハーディスト」が職探し中に「スーパーの警備は?」と提案される様子や、イスラム風の衣装をまとう女性が下半身や胸をさらす姿も描かれている。

 これをパリ市民はこぞって買い求めた。「新聞を買うことが、『表現の自由』を守ることにつながる」と語るパリ市民。表紙の預言者ムハンマドの風刺画を描いた風刺漫画家レナルド・ルジエさんも「表現の自由は、表現の自由だ。『自由だ。だけれど……』なんて留保をつける必要はない」とも語っている。
 同日午前10時までに70万部が売れ、2万7千カ所の売店などで「売り切れ」になったそうだ。「シャルリー・エブド」社は、700万部まで増刷して販売する方針だという。これは「表現の自由」というよりも商魂たくましき「営業の自由」の断固たる行使というべきか?

 まさに熱病のごとき「表現の自由」の謳歌である。

 さて「表現の自由」は、フランスにおいて、現行憲法と一体をなすフランス人権宣言において、もっとも重要な人権の一つとして定められている。条文を見てみよう。

 第11条
 思想や見解の自由な意思の疎通は、人間の最も大切な権利の一つである。したがって市民は自由に話し、書き、出版することができるが、ただし、法によって明確な場合において、この自由の濫用には責任を負う。

 ところで「自由」には、ルソー流に言えば、市民社会以前の自然的欲求に基づく放縦な自由と市民社会における社会契約を介したよりよき共生のための自由がある。フランス人権宣言の定める人権としての自由は、よりよき共生のための自由である。
 人権宣言以来のフランスにおける「自由」はよりよき共生のための自由である。そのために内在的な制約を受けることを予定されている。人権宣言は以下のように規定している。

 第4条
 自由は、他人を妨げない限りにおいて すべてのことができる ということにある。したがって、各人の生れながらの権利の行使は、他の社会の構成員に対して同じ権利を享受することを保証する以外に 限度がない。この限度は 法律によってのみ 決定することができる。

 「表現の自由」においてもしかりである。これを人権宣言11条では「この自由の濫用には責任を伴う。」と表現したのだ。それは絶対無制限のものではなく、よりよき共生のために行使する責任を伴う。

 フランス人権宣言の人権規定は「個人の尊厳」を根底にすえている。「個人の尊厳」とは何か。「尊厳」とは元来貴族など高貴な身分に相伴うものであった。アンシャンレジームを粉砕したフランス革命はその「尊厳」を全ての個人に行きわたらせた。それが「個人の尊厳」である。しかし、それは「尊厳」を下方に分配し、安売りしたのではない。逆だ。全ての個人を、「尊厳」に値する人間に引き上げたのである。「尊厳」に値する人間とはよりよき共生のための社会を作り上げる市民である。「自由」は、そのような市民が手にしたものであって、市民社会以前の自然的欲求に基づく放縦の自由とは一線を画している。

 我が日本国憲法では、「表現に自由」について次のように定めている。

 第21条
1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 これを読むと何らの制限も付されていない。しかし、絶対無制限ではないことは言うまでもなく内在的制約を伴うことは当然のことである。日本国憲法は、「個人の尊厳」を定めている。

 13条
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 これは日本国民を個人として尊重される人間に、より高次の存在に引き上げた規定である。そのような個人は、もはやを自然的欲求に基づく放縦な自由の行使主体ではない。在日朝鮮・韓国人に対するヘイトスピーチは、「尊厳」の主体である個人に認められる「表現の自由」の範疇に入らないことは明らかである。(了)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。