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「刑事司法改革法案」に異議あり (その3)


 法制審議会「新時代の刑事司法特別部会」(「特別部会」)は、2014年7月9日、答申案「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果〔案〕(最終的なとりまとめ)」を全員一致で採択しました。しかし、この全員一致は、前回述べたように、あらかじめ定められた答申案一括採択と全員一致での採択という枠組みにより、無理やり作りだされたものですから、この答申案の価値を高めるものではありません。
 その後、同年9月18日、上記答申案は、法制審議会において、これもまた全員一致により採択され、正式に法務大臣への答申として確定、提出されました。答申には、「要綱(骨子)」が別紙として添付され、本文で審議の経過と別紙の「要綱(骨子)」の内容が摘記されています。刑事司法改革法案は、この別紙「要綱(骨子)」に従い、法文化され、本年3月13日、閣議決定されて、今国会に提出されたのです。

(法案の内容)

 法案の内容を、ポイントだけ摘記して紹介します。それは以下の如くです。わかりにくいかもしれませんが、次回に論評する中で、少しはイメージをつかんでいただけるようにしたいと思います。

① 取調べの録音・録画制度の導入

 対象事件を裁判員裁判対象事件、検察独自捜査事件(いずれも身柄拘束がなされた場合のみ)に絞りこみ、原則として取調べの全過程をカバーするが、一定の例外事由にあたる場合には録音・録画しないことも認められる。

② 捜査・公判協力型協議合意制度及び刑事免責制度の導入

・ 被疑者・被告人が他人の犯罪事実(対象事件は、経済財政関係犯罪及び薬物銃器犯罪であり、具体的にその範囲が別記されている。実際には相当広い範囲に及んでいる。)についての知識を有する場合に、検察官は、当該被疑者・被告人との間で、その弁護人の同意のもとに、当該他人の事件について供述もしくは証拠物の提出を得、その見返りとして公訴を提起しないこと(起訴しないこと)、公訴提起済みの場合には公訴を取り消すことなど被疑者・被告人に対する有利な取り扱いをすることを協議し、合意することができる(合意に至った場合にはその内容を被疑者・被告人及び弁護人と検察官が連署した書面を作成する。)。
・ 検察官は、証人尋問において、当該証人がその尋問結果に基づいて刑事訴追を受け、もしくは有罪判決を受けないこととする免責決定を受けた上で、尋問を実施することができるものとする。

③ 通信傍受(盗聴)の合理化・効率化

・ 対象犯罪を現行の4類型(薬物事犯、集団的密航等出入国違反、武器製造法・銃刀法違反等及び組織犯罪法所定の組織的殺人・同未遂)に、現住建造物放火・同未遂、殺人・同未遂、傷害・傷害致死、逮捕監禁・同致傷、未成年者略取誘拐をはじめとする誘拐関連事犯、窃盗・強盗・強盗致傷及びこれらの未遂、詐欺・恐喝等及びその未遂、爆発物取締罰則所定の爆発物使用・同未遂、児童買春・児童ポルノ法違反など犯罪のうち一定の組織性をもって遂行される場合を追加する。
・ 自動的に通信傍受(盗聴)を記録する装置し、再生することができる装置(「特定装置」)を用いる場合に、記録、再生、廃棄についての簡便な手法を導入する。

④ 身柄拘束に関する判断の在り方についての規定の新設

・ 裁量保釈(刑事訴訟法90条)の判断にあたっての考慮事情を明記する。

⑤ 弁護人による援助の充実化

・ 被疑者に国選弁護人を付する範囲を、現行の死刑、無期若しくは長期3年を超える懲役・禁固の法定刑の定めのある事件で勾留状が発せられている場合から、勾留状が発せられている全ての場合に拡大する。
・ 弁護人の選任の申し出ができる旨の教示を拡充する。

⑥ 証拠開示制度の拡充

・ 公判前整理手続に付された事件において、検察官は証拠の取調べ請求をした段階で、弁護人・被告人の請求があったときは取調べ請求をした証拠以外の手持ち証拠の一覧表を交付しなければならないこととする。
・ 現在は、公判前整理手続に付するかどうかは裁判所の職権事項であるが、検察官、被告人若しくは弁護人に公判前整理手続の請求権を付与することとする。
・ 公判前整理手続で検察官が証拠調べ請求をした段階で被告人若しくは弁護人が証拠開示請求できる対象証拠を拡大する。

⑦ 犯罪被害者及び証人を保護するための方策の拡充

・ ビデオリンク方式による証人尋問の拡充
・ 証人の氏名・住居の開示を制限する措置の導入
・ 公開の法廷における証人の氏名等を秘匿する措置の導入

⑧ 公判廷に顕出される証拠が真正なものであることを担保するための方策等

・ 証人の不出頭、宣誓・証言拒絶の罪の法定刑を重くする。
・ 証人の勾引を可能とする。
・ 犯人蔵匿等、証拠隠滅等、証人等威迫、組織的犯罪に係る犯人蔵匿等の罪の法定刑を重くする。

⑨ 自白事件の簡易迅速な処理のための方策

・ 利用頻度の少ない現行の即決裁判手続の利用を促進するための措置

                                 (続く)

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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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