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小川和久氏の参考人陳述批判(1)

 7月1日、衆院安保法制特別委員会において、軍事アナリストで静岡県立大学特任教授の肩書をもつ小川和久氏が公明党推薦で参考人陳述をした。小川氏の陳述内容は、以下に要旨を摘記するが、おおむね同氏が昨年12月に出版した『日本人が知らない集団的自衛権』(文春新書)を、要約して述べたものであった。

(小川氏の陳述要旨)

① 「保安隊が自衛隊へとドラスティックに変更されたことに比べれば、昨年7月の閣議決定は解釈改憲にはほとんど抵触しない。安倍政権は日本的議論を整理して日本の安全を確立しようとしており高く評価する。」

② 「集団的自衛権の行使か、日米同盟を解消し独自の防衛力を整備するか、の選択肢しかなく、今のレベルの独自防衛には防衛大学の教授の3年前の試算で23兆円が必要とされる。これは選択の余地なしである。」

③ 「同盟を選択した以上集団的自衛権は認めざるを得ない。集団的自衛権は戦争抑止のための制度である。」

④ 「日米同盟は世界最高レベルの安全をもたらしており、費用対効果に優れている。「米国の属国」と言うのは日本人が悪い。米国から見て最も対等に近い唯一の同盟国は日本。日本列島という戦略的根拠地を提供し、米軍の本社機能が日本に置かれている。84ヶ所の米軍基地と日米共同使用施設が50ヶ所あり、喜望峰まで活動する米軍を支えている。だから米国は日米同盟の解消をずっと懸念してきた。既に対等平等の同盟関係なのだ。」

⑤ 「本社機能を持つ日本列島を攻撃しないで米国を攻撃するということはない。抑止力として日米同盟に勝るものはない。東シナ海でも中国は極めて抑制的に動いて気を遣っている。沖縄の海兵隊は抑止力でないと言うが、尖閣や台湾有事などで1000人が駆けつける。中国に米国と全面戦争するのをためらわせる抑止力になる。」

⑥ 「国連憲章、集団的自衛権、戦力投射能力なき自衛隊という3点が全て歯止めになる。」

⑦ 「日本でしか通用しない議論で自衛隊や警察、海上保安庁を出さないでほしい。向き合う相手はフリーハンドなのだから。」

 しかし、私に言わせれば、小川氏の上記の陳述は、軍事アナリストとして、さまざまな知識を披歴し、並みいる議員諸氏を煙にまくだけの効果はあったであろうが、いずれも単なる独断に過ぎない。そればかりか、肝心の7.1閣議決定と安保法案についてはもろ手を挙げて賛成するだけで、具体的にその根拠は何も明らかにしていない。言ってみれば政治好きの横町の御隠居さんの政治談議の類であった。

 小川氏は、1980年代に、在日米軍基地を調査し、『在日米軍―軍事占領40年目の戦慄』(講談社)を書いた。同書には、在日米軍基地が米国の世界を睨んだ軍事戦略のための世界最大の兵站基地としての機能を担っていることが記されている。これは在日米軍基地が、日米安保条約から大きく逸脱した実態にあることを客観的資料に基づき明らかにしたもので、小川氏の主観的意図とは関わりなく、安保体制を批判する見地からも有益であった。

 また小川氏は、1980年代に、「平和国家モデル」と自ら呼んでいる独立国家の外交・安全保障構想を提起した。これによると平和国家がまずなすべきことは周辺諸国との「信頼関係の醸成」であり、これをベースとし、その上に専守防衛に特化した防衛力、国連の平和維持活動への参加、途上国援助、文化・学術・労働力の交流などの「平和創造力」を積み上げ、その積み上げの頂点として必要とあらば「同盟関係の選択」をするいう整理がなされ、ピラミッド型の模式図を示して説明されていた。その考察の上に立って、我が国は、先に「同盟関係の選択」という頂点の上に逆立ちした成り立ちとなっており、国家の安全と繁栄を順序正しく組み上げていくという思想を欠ける原因となっていることを批判していた。

 かつての小川氏は、独立した軍事アナリストとして、国民に有益な知見を提供してくれることもあったのである。しかしながら、小川氏は時の政権に請われて、政策形成に関与するうちに、かつての良質な側面をすっかり削ぎ落としてしまったようだ。小川氏の現在の立ち位置は、味噌でも糞でも安部政権のやることは全て賛成し、賛成する理屈を長年培った軍事に関する知識を総動員してひねり出すという、卑屈な安部政権追随者に堕してしまっているのだ。

 次回から、上記陳述に対し、逐次反論してみることとする。

                         (続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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