幸福追求権

日本国憲法13条は次のように定めています。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

この第二文のいう国民の権利は、一般に幸福追求権と呼ばれています。

ご存知のように、2014年7月1日の閣議決定と去年3月29日施行の安保法制(改正武力攻撃事態法及び改正自衛隊法)は集団的自衛権に基づく武力行使を可能としましたが、その拠り所として、この幸福追求権が援用されています。

今、売り出し中の若手憲法学者の某氏も自衛権に基づく武力行使をこの幸福追求権により根拠付けようとしています。もっとも彼の場合には、武力行使の要件を限定しようとする意図に基づくものですが。

でも私は自衛権に基づく武力行使の問題に幸福追求権を持ちこむことに違和感を覚えます。自衛権とは、戦争違法化の大きな現代法思想の流れに逆らう守旧派の法思想に過ぎないのではないかと思えますし、仮にそこまで言わなくとも自衛権に基づく武力行使といえども所詮は人を殺傷する行為に過ぎません。そんなものが人類の自由獲得の努力の成果たる幸福追求権なる普遍的権利とは、決して調和できるものではないように思うのです。そのような普遍的権利に基づいて自衛権に基づく武力行使を正当化することは、その肥大化を招き、独り歩きをすることでしょう。かつての日本帝国の国防概念のように。

なお、私は、自衛権は個別国家を認める以上は存在すると考えますし、日本国憲法9条もそれを否定してはいないと考えますが、自衛権に基づく武力行使となると必ずしもそうとは言えません。自衛権の在り方は武力によらない方法もあり得ます。日本国憲法9条はそのことを指し示しているのではないでしょうか。

自衛権は、歴史的特殊性を帯びた概念であることは、以下の論文でも論じていますので、ご覧下さい。
 http://ja1cty.servehttp.com/FUKAKUSA/kinnkyuu-jitaiAND9jo-rikken.pdf
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プロフィール

深草 徹

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイア。
「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう。」

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