「国際的組織犯罪防止条約」を批准するにはいわゆる「共謀罪法案」を成立させることが必要不可欠か?

 いわゆる「共謀罪法案」について、2回にわたって私の考えるところを書いてきました。これに対し、匿名氏から①「共謀罪法案」ではなく、「テロ等準備罪」を創設する法案だ、②犯罪抑止のために「共謀罪法案」をもとに法律を制定するべきだ、③「国際的組織犯罪防止条約」(以下「TOC」条約といいます。)に加入できない状態は問題だ、とのコメントがありました。

 ①と②については、既に2回の拙文で、書いているので、これをよくお読みくださいというほかありません。それでもご納得頂けないときは、見解の相違ということにしておきましょう。

 そこで今回は③について、論じてみたいと思います。

 TOC条約は、2000年11月15日に国連総会で採択され、わが国も、同年12月12日に署名し、2003年5月14日には、国会で承認しています。ただ批准手続きが未了のため、わが国は、現時点では未加入ということになっています。

 さてこの点について、TOC条約第5条は、「締約国に対し、重大な犯罪(長期4年以上の罪)の共謀(共謀罪)又は組織的な犯罪集団の活動への参加(参加罪)の少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務付けています」と言うのが法務省の説明でした。このことを根拠にして、政府は、過去三度も廃案になった「共謀罪法案」を、化粧直しをして、また提出してきたのです。

 しかしながら、TOC条約第5条は、国連当局作成のTOC条約に係る「立法ガイド」第51項によれば、共謀罪や参加罪という犯罪概念を持たない国に、これを犯罪化する国内立法を義務づけているのではないと解されています。実際、既に批准した187に及ぶ国と地域のうち、新たに形式上共謀罪立法を行ったのは、ノルウェーとブルガリアだけですし、アメリカは、一部の州では極めて限定された共謀罪の法制しかないとの留保を付して批准しています。

 そもそもわが国には、刑法典に、殺人予備罪、放火予備罪、内乱予備陰謀罪、凶器準備集合罪などの定めがあるほか、爆発物取締罰則、破防法など各種の特別法で、予備、陰謀、独立教唆、独立ほう助、せんどうなど70を超える犯罪が定められており、それだけでも実質上、TOC条約第5条の要件をクリアできるのです。政府は、まさに「共謀罪法案」ありきで、あえて上記の如き口実を設けていると言わざるを得ません。

 なお、政府はテロ防止を「共謀罪法案」の金看板としていますが、それも、あやしい限りです。正真正銘のテロ対策のための国際条約は、「爆弾テロ防止条約」、「テロ資金供与防止条約」など5本の国連条約と8本の国際条約がありますが、わが国は、それら全て批准し、国内法の整備も行われています。それに対してTOC条約は、マフィアなどや文字通り世界をまたにかけた犯罪組織、反社会集団の撲滅を目的とする条約です。ご承知のように、この分野では、わが国には暴対法が存在しています。

 わが国の警察が、どれだけ違法、不当な捜査や情報収集活動をしているか、わが国の刑事手続きがdue process(適正手続き)からどれだけ乖離してしまっているか、日ごろの弁護士実務を通じて多くの弁護士は、苦渋を味わわされています。だから私たち弁護士は、「共謀罪法案」が成立してしまうと、恐るべき警察国家を招くことになると、強い危機感を持つのです。
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なぜ長きに渡り加盟しようとしているのに、できていないのか?の答えがこの更新ならなんの説明にもなっていませんね。
そして実行準備は罪になりますが共謀は今回提出された法案では罪にならないのでテロ等準備罪を共謀罪と呼ぶのも的外れとしか。
まぁ説明のしようがないから長々と論点のすり替えをするんでしょうが正直がっかしましたよ。
ちなみに共謀罪やスパイ防止法等の治安維持のための法制度は大概の国に元々あるからわざわざ新設する必要がなかっただけです。

私見で申し訳ありませんが現状加盟できていないのはtoc条約に『締約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。』と言うのあるのですが、この要件を満たしていない事が大きな理由の一つであろうと見ています。
Wikipediaからコピペなので誤字脱字はないはずですが、Wikipediaですし…そもそも翻訳前の原文で読んだわけではないのでこれが完全に正確かと言われるとわからないのが困っちゃうところなんですがね(笑)

弁護士としてtoc条約全文を(抜粋ではどうしてもフラットに伝わらなくなりますから)一度解説されたらどうです?それこそ「法理の専門家」なので基本的にはおそらく得意分野かと…

同じ形式で。。。

こんばんは。
今回の記事も同じ形式で紹介させていただきます!
よろしくお願いします。
プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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