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明治維新という時代

大西郷は永続革命をめざしたのか?(14)

(征韓論本論―西郷は征韓論者か) その2

 さて、いよいよ8月17日に至る。当日の閣議で、西郷が求めたとおり、西郷を遣朝使節とすることが決定され、三条はこの決定を天皇に上奏したが、天皇は、これを了承した上で、ことは重大なので岩倉らの帰国後に再度熟議し、あらためて奏問すべしと付け加えたとのことである。つまり内定(もしくは内決ともいう。)という取り扱いである。あとはやがて帰国する岩倉の出席する閣議で確定させるばかり、しばらく岩倉の帰国待ちということになった・

 9月13日、その岩倉率いる使節団の残りが帰国する。しかし、三条はなかなか閣議を招集しない。そこで西郷は、三条に対し、閣議を開いて遣朝使節派遣を確定させるよう要請する手紙を度々送る。かくしてようやく10月14日、閣議が開催されることになる。
 そこからの顛末は次章で述べることとするが、西郷は、10月14日に引き続いて行われた翌15日の閣議を欠席し、そのかわりに自分の言い分をまとめた「始末書」と題する書面を提出した。これは西郷の考えを示す重要なものであるから、ここで少し長いが全文紹介しておきたい(原文をわかりやすい表記に改めた。)。

「朝鮮御交際の儀
 御一新のきわより数度に及び使節さし立てられ、百方御手をつくされそうらえども、ことごとく水泡とあいなりそうろうのみならず、数々の無礼を働きそうろう儀これあり、近来は人民互いの商道をあいふさぎ、倭館詰めおりの者も甚だ困難の場合に立ち至りそうろうゆえ、御よんどころなく護兵一大隊差し出るべく御評議のおもむき承知致しそうろうにつき、護兵の儀は決してよろしからず、これよりして闘争に及びそうらいては、最初の御趣意にあい反しそうろうあいだ、この節は公然と使節をさし立てらるる相当のことにこれあるべし、もし彼より交わりを破り、戦をもって拒絶すべくや、その意底たしかにあいあらわれそうろうところまでは、尽くさせそうらわでは、人事においても残るところこれあるべく、自然暴挙もはかられずなどとの御疑念をもって、非常の備えを設けさし遣わされそうらいては、また礼を失せられそうらえば、是非交誼厚くなされそうろう御趣意貫徹いたしそうろうようこれありたく、そのうえ暴挙の時機に至りそうらいて、はじめて彼の曲事分明に天下に鳴らし、その罪を問うべき訳に御座そうろう。いまだ十分尽くさざるものをもって、彼の非をのみ責めそうらいては、その罪を真に知るところこれなく、彼我とも疑惑致しそうろうゆえ、討つ人も怒らず、討たるるものも服せずそうろうにつき、是非曲直判然とあい定めそうろう儀、肝要のこととみすえ建言致しそうろうところ、おうかがいのうえ使節私へおうせつけられそうろう筋、御内定あいなりおりそうろう次第に御座そうろう。この段なりゆき申し上げそうろう。以上」


 数々の無礼なふるまいがあったのでやむなく兵を派遣するとの提案が閣議になされた。それで、私は、丸腰、烏帽子直垂の正装、礼を厚くしての使節を派遣するべきだと申し上げ、それが認められて、私を使節として派遣することが内定した。その経過を申し上げておく・・・。

 超訳し、要約するとこうなる。なんとまっとうな言い分であろうか。これをまともに読んだ上で、なおかつ西郷を征韓論者だと言う人がいたら、よほど先入見にとらわれていると言わざるを得ない。

 さらに、冒頭「はじめに」の章で、この時から2年も経ない1885年9月に起きた江華島事件の報を聞いて、篠原冬一郎こと国幹に送った手紙の一部を引用したが、もう少し引用を続けてみよう。

 「朝鮮の儀は数百年来交際の国にて、御一新以来、その間に葛藤を生じ、既に五、六ヶ年談判に及び、今日その結局に立ち至りそうろうところ、全く交際これなく人事尽くしがたき国と同様の戦端を開きそうろう儀、まことに遺憾千万に御座そうろう。」

 なお、西郷は、第二話「ニワトリからアヒルの帝国軍隊」で述べた江華島事件の正しい経過ではなく、政府のねつ造した経過しか知らされていない状況でこの手紙を書いているようである。真の経過を知ったなら、どのように述べたであろうか。押して知るべし、である。
 
 以上で、西郷を征韓論者とするのは謬論であることがおわかりであろう。

                               (続く) 
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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