国会は首相の改憲暴走をチェックしなければならない

 今朝の「朝日新聞」社説は、『与党と改憲 首相の暴走に歯止めを』と題して、「まずは首相が自分本位の改憲構想を白紙に戻す」べきだが、立法機関が首相の誤りをチェックするという当たり前の機能を果たすためには、野党のみならず与党にも大きな責任があることを論じている。極めて常識的で、おそらく今の国民の70~80%の考えを代弁するものと見てよい。
 以下に全文引用するので、ざっと目で追って頂きたい。

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 東京都議選での自民党惨敗を受け、安倍首相が急ぐ憲法改正に対して、与党から慎重な議論を求める声が相次いでいる。

 おとといの自民党憲法改正推進本部の会合で、石破茂・前地方創生相は、こう指摘した。

 「丁寧な議論をちゃんとやって、分かるようにやって、というのが都民の意思だった」

 船田元・推進本部長代行も記者団に「あらかじめ期限を切って憲法改正を議論するというのは、私自身はあまり得策ではないと思う」と語った。

 ともに、もっともな発言である。首相が都議選の敗北を真に反省しているのなら、これまで「1強」の下で封じ込められてきた与党内の率直な意見に、きちんと耳を傾けるべきだ。

 2020年、9条に自衛隊の存在を明記した改正憲法を施行したい。今秋の臨時国会で、自民党の憲法改正原案を衆参の憲法審査会に提出する――。5月以降、首相が矢継ぎ早に示した考え方は筋が通らない。

 憲法改正を発議する権限は国会にある。行政府の長である首相が、自らの案を期限を切るかたちで示し、強引に進めようとするなら、まさに「1強」の暴走というほかない。

 「20年施行」をめざすのは、自らの首相在任中に改憲したいからだろう。自民党案の提示を急ぐのも、発議に必要な衆参で3分の2の改憲勢力があるうちに、という思惑がにじむ。

 連立を組む公明党から、異議があがったのも無理はない。

 山口那津男代表はおとといの記者会見でこう語った。

 「憲法(改正)は政権が取り組む課題ではない」「憲法改正は国会が発議する。与党の枠組みが、ただちに憲法の議論につながるものではない」

 山口氏は昨年の参院選後、9条改正は「当面必要ない」と述べていた。自民党と同調して安全保障関連法を成立させた結果、改正は急を要さなくなった。そんな考えのようだ。

 岸田文雄外相も6月末、同様の見解を示した。安保法によって「平和憲法との関係でどこまでの備えが許されるのか、ぎりぎりの結論を出した」「その結論が出たとたんに平和憲法そのもの、9条を変えるとなれば、話は振り出しじゃないかということになりかねない」。

 多くの国民が納得できる憲法論議を取り戻すには、まず首相が自分本位の改憲構想を白紙に戻す必要がある。

 行政府にあやまりがあれば正す、という立法府の責任を果たせるか。野党のみならず、与党も問われている。

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 さて、衆院憲法審査会の議員団が、この11日から10日間の日程で、英国とイタリア、スウェーデンの3カ国を視察にでかけるそうである。

 イギリスでは、昨年実際された「ブレグジット」国民投票の実情について、イタリアでは、これまた昨年実施された憲法改正国民投票の実情について、スウェーデンでは、教育無償制度が憲法ではなく「統治法」に基づいて実施されている実情ついて調査をするそうである。虚心坦懐に学び、見聞を広めることはよいことだ。とりわけ、与党議員は、党派にとらわれず首相の改憲暴走をチェックするという議員の本分、国会の機能について、あらためて認識を深めてきて欲しい。
 少し気になるのは、イタリアの憲法改正国民投票について、レンツィ首相(当時)の信任投票の色合いが濃くなり、改憲の是非ではなく「政権への審判」になったのではないかという先入見に基づいて、ピントはずれな結論を出されはしないかということである。
 イタリアの経験を学ぶなら、当ブログの7月4日の記事『イタリア憲法改正の挫折―何が問題だったのか』で述べたことを参考にして欲しいものだ。イタリアでは、レンツィ首相の改憲暴走を国会がチェックできず、やむなく国民がチェックしたのである。

                             (了)

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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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