核燃料サイクルからの撤退を! (4)

コツンと頭をたたかれたような不快な感覚を覚えて、目を醒ました。何か嫌な夢を見ていたようだが、どんな夢であったか思い出せない。今日は、日曜日。ちょっと出鼻を挫かれたようである。
使用済燃料再処理の問題点に話を進めることとする。

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使用済燃料再処理の問題点 その1
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使用済燃料には、核分裂性のウラン235、プルトニウム239、241が合計しておおよそ2%含まれている。fpも3%程度含まれている。六ヶ所再処理工場の使用済燃料貯蔵プールに、3000トンもの膨大な量の使用済燃料が搬入されるとなると、60トン近くもの核分裂物質と、およそ90トンものfpが集積されることになる。そのために地震による貯蔵プールの破壊、電源喪失などが生じれば、使用済燃料の損傷・破壊、メルトダウン、再臨界、大量の放射性物質の放出など、大事故発生の危険性があることが、つとに指摘されてきたところである。

また再処理工程においては、揮発性fpの大気中への放出、fpを含む廃液の海への流出のなど、放射性物質による環境汚染が危惧されるほか、腐食性の強い硝酸、引火性の強いドデカンが用いられるため、化学爆発事故を起こす危険も指摘されている。

さらに使用済燃料再処理に要する費用は、総括原価方式により、結局は電気料金に跳ね返り、全て国民が負担しなければならないことになる。現在までの、六ヶ所再処理工場の建設費は、上述のとおり、2兆1,930億円、1989年に再処理事業の指定申請がなされた当時の建設費用予定額のおよそ3倍となっている。しかし、これとてもこのままでおさまるとは考えられず、これまでの経過から見て、さらに膨れあがる可能性が大きい。

加えて将来発生する再処理工場の操業や廃止に要する費用は約11兆円が見込まれている(2003年11月11日に開かれた総合エネルギー調査会電気事業分科会に提出された電気事業連合会のペーパーによれば、バックエンドに要する費用は約19兆円、うち、再処理工場を40年間稼働し、廃止するものとしてその間の操業及び廃止の費用は約11兆円とされている。)。

この約11兆円という数字も、当初年210トン/年の処理能力をうたっていたが、実際には、事故や故障続きで、20年余りの間におよそ1,000トン、計画処理能力の4分の1の処理しかできず、事故対策や故障修理で多額の費用を費やしてきた東海再処理工場の実績に照らせば、同じように事故対策や故障修理で多額の追加費用の支出を余儀なくされ膨れあがっていくことは目に見えている。

何せ、電力会社は、いくら費用を費やしても全て電気料金で回収できるのだから、湯水の如く支出をしても痛痒を感じない。好き勝手のしほうだいで、何らの抑制も働かないのである。

そして何よりも重大な問題は、大量のプルトニウムが備蓄されていくことである。現時点での備蓄量は、海外委託分と国内分をあわせて、全量およそ45トン(うち核分裂性のプルトニウムだけで30トン以上と推計される。)である。仮に六ヶ所再処理工場が、2015年1月以後、フル稼働して年800トンの使用済燃料を再処理していくとすると、プルトニウムは、年8トン程度ずつ蓄積していくことになる。

前述のとおり、アメリカとの合意により、プルトニウムは、MOXの形で取り出されることになっているが、これは化学的処理によっていつでも純粋なプルトニウムに転換できる。

わが国は、核不拡散条約(NPT)により、国際原子力機関(IAEA)の厳格な保障措置を受け入れているので、わが国自身が直ちに核保有をするといった事態は、当面、考えなくてもよいかもしれないが、わが国周辺国の疑念は消せないだろうし、これら諸国にプルトニウム保有への願望をかきたてることにはなるだろう。実際、わが国政府は、1991年、IAEA総会において「核燃料サイクルの推進に当たって必要な量以上のプルトニウムを持たないようにする」ことを宣言し、国際公約をせざるを得なかった。

さらにはテロリストのターゲットになるおそれもある。

わが国が使用済燃料の再処理路線をとり続ける限り、それは核拡散につながる危険性を孕んでいると言わざるを得ない。

なお、私は、わが国が再処理路線を取り続けることは、単にエネルギー政策の問題にとどまるものではなく、プルトニウムの生成・備蓄・加工技術の開発こそが目的であると考えるものである。原子力の平和利用(原発推進)と宇宙ロケット開発こそが核武装ポテンシャルの要諦をなすものであり、わが国は核武装ポテンシャルを抑止力とする安全保障政策を確立しているのである(私の論文「憲法9条から見た原発問題」http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml)。‎
(続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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