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特定秘密保護法は廃止しかない―歴史に学びつつ― (1)

1 特定秘密保護法の現況

(1)特定秘密保護法(以下単に「法」という。)は、昨年12月13日公布され、公布後1年以内に施行ということで、着々と準備が進められている。準備作業を担っているのは内閣官房・特定秘密保護法施行準備室(以下「準備室」という。)、その室長は同・内閣情報調査室次長が兼務している。

法18条②、③に規定する有識者7名が選任され、その7名からなる情報保全諮問会議(以下「諮問会議」という。)の第1回会議が、本年1月17日に開催された。

第1回諮問会議では、出席した安倍首相から、「特定秘密の指定、解除や適性評価の実施に関する運用基準」や「特定秘密保護法の政令案」について議論をお願いしたい、委員から頂いた意見をしっかり受けとめると挨拶があったあと、各委員から意見がだされた。

各委員からは、国際的に遜色のない運用基準にすることが重要、ツワネ原則も参照しつつ議論を進めるべきだ、諮問会議が密室で行われているとの批判を受けることがないよう議事運営してもらいたいなど積極的な意見も出されたが、渡辺恒雄座長が、会議として意見をまとめることはしない、様々な意見があるということで総理大臣に検討していただけばよいと述べ、議論を打ち切った。

会議時間は全体で1時間ほど、森雅子担当大臣の締めの挨拶、事務方の準備室からは配布された「今後のスケジュール(イメージ)」と題するペーパーなど合計9点の資料の説明もあったであろうから、委員らによる議論の時間はそんなになかったのではないかと思われる。

いずれにしても諮問会議は、各委員は一方的に意見を述べるだけで意見のとりまとめをしない、内閣総理大臣はそれを「しっかり受けとめる」だけ、実質的には内閣情報調査室の別働隊である準備室が全て取り仕切るというもので、早くも有名無実の存在であること明らかとなった。

(2)その後の動きであるが、4月16日付準備室発表によると、以下のとおりで、第1回諮問会議で配布された「今後のスケジュール(イメージ)」と題するペーパーどおり進行している。

準備室において、「特定秘密の指定、解除や適性評価の実施に関する運用基準素案」と「法施行のための政令素案」を、委員の意見を聞きながら作成中である。その素案ができあがった段階で、第2回諮問会議を開催してこれら素案についての意見を聞くことになる。そして夏ころにはパブコメを実施し、パブコメの意見を踏まえ、第3回諮問会議を開催、しかる後に閣議決定をする。

(3)18条④は、「特定秘密の指定及び解除並びに適性評価の実施」について内閣総理大臣が行政各部を指揮監督する旨定めている。準備室は、その実施機関として、官房長官をヘッドにインテリジェンス・コミュニティ(内閣官房、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁の各省庁)次官級で構成する仮称「保全監視委員会」を内閣官房に設置するという構想を描いている。このような機関を、法律上何らの独立性保障、権限付与もなしに作ったとしても、特定秘密を多く取り扱う仲間内の談合機関に過ぎず、何らチェック機能を果たせないことは火を見るより明らかである。

法附則9条は、特定秘密の指定及び解除の基準等を検証、監察するための独立した公正な新たな機関の設置、その他、特定秘密の指定及び解除の適正を確保するために必要な方策を検討し、所要の措置を講ずることを定めている。これに基づいて、準備室は、内閣府に審議官級(局長級)の仮称「独立公文書官吏監」を置き、その下に情報保全観察室をおいて、指定・解除の適否等を検証・監察、行政文書の管理・廃棄を検証・監察させるという構想を描いている。しかし、これも法律上何らの独立性保障、権限付与の手当てもなされていないのであるから、有効に機能するとは到底思えない。

さらに特定秘密を取り扱う関係行政機関の在り方及び特定秘密の運用の状況等について審議、監視する委員会を国会に置くとの、昨年12月5日付自民、公明、維新、みんなの4党合意に基づいて、仮称・情報委員会について、自民、公明から案が出され、検討が進められている。報道されているところによると、自民案、公明案及び議論の状況は以下の如くである。

自民党案は、各院それぞれに設置し、法10条1項1号イの規定による各常任委員会、特別委員会等への特定秘密の提供が拒否された場合にのみその当否を審査することとしている。公明党案は、両院合同で設置し、法101項1号イの規定による各常任委員会、特別委員会等への特定秘密の提供が拒否された場合だけではなく、常時、特定秘密の運用状況を監視することとしている。これら両者の案をどう調整するかが課題であるがなかなか容易ではなかろうと。

しかし、そのような矮小化された議論ではどうしようもない。私は、①法10条1項1号の規定を改正し、仮称・情報委員会は全ての情報にアクセスできるようにしなければならないこと、②広く国民から特定秘密の指定、解除、適正評価に関する苦情申し出を受け付けること、③是正に関する強制権限を持つこと、④相当な調査スタッフをもつことなど、実効的監視機能を持つように本法を抜本的に改正する必要があると考える。

(4)ところで本法の廃止、抜本的改正を求める動きは粘り強く進められてはいるが、先の国会で反対した野党、即ち民主、生活、共産、社民の間で共同歩調がとれているように思われないし、昨年12月初めのころの反対運動と比べると、勢いを欠くと言わねばならない。このままでは、政府の思うままに施行されてしまうことが強く危惧される。
 
そこで今一度、本法の危険性を確認しておく必要がある。
                                  (続く)

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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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