核燃料サイクルからの撤退を! (5)

最近は、公共図書館にもパソコン・スペースが用意されている。便利になったものだ。まわりの閲覧スペースを見ると大学受験生が多いようで、最後の追い込みに捻りはちまきで頑張っている。若いということはいいことだ。希望通りの大学に入って、大いに勉強して欲しいものだ。私も、天皇制の勉強にもっと身を入れよう。
話は使用済燃料再処理の問題点の続き、高レベル放射性廃棄物の問題に入っていくこととする。

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使用済燃料再処理の問題点 その2  
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高レベル放射性廃棄物の問題である。
使用済燃料の再処理工程で、①fpを溶解した硝酸液、②半減期の長いアメリシウム、キュリウムなどウランよりも原子番号が大きい超ウラン元素(Transuranium Elements)の核種を含む放射性物質(「TRU廃棄物」と呼称される。)及び③剪断されたジルカロイ被覆管の破片やその他の使用済燃料付随物などの放射性物質が発生する。これらのうち、①は濃縮してガラス溶融炉でガラスと混合し、直径約40㎝、高さ約1~1.3m、厚さ5~6㎜のキャニスターと呼ばれる円柱形のステンレス製容器に流し込んでガラス固化体に成形され(ステンレス製キャニスターと一体化したものが「ガラス固化体」である。)、②はアスファルト固化処理もしくはガラス固化処理が行われる。

そして①については「最終処分法」によって第1種特定放射性廃棄物(同法2条8項)として、②については同じく第2種特定放射性廃棄物(同法2条9項)として、それぞれ「最終処分を計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を構ずる」(同法1条)こととされている。また③は、低レベル放射性廃棄物に分類され、原子炉等規制法に定める廃棄事業の規制対象とされている。

以下に述べるのは、上記のうち、②、③は省略し、①に関してのみである。なお、以下では、①のことを、「最終処分法」による第1種特定放射性廃棄物なる用語を用いず、通常の用語例に従って高レベル放射性廃棄物といい、場合によってはガラス固化体と言い換えることもある。

さて、第6回長期計画(1987年)において、原子力委員会は、はじめて高レベル放射性廃棄物を「地下数百メートルの深い地層中に処分する」との基本方針を打ち出した。その後2000年6月、「最終処分法」が制定され、同年11月施行された。現在、それに基づき、「ガラス固化体は、30年~50年間貯蔵して、発熱量の低下、放射能の減衰を待ち、順次、安全性を確認しつつ最終処分する」こととされている(2008年3月14日閣議決定)。

貯蔵する場所は、日本原燃の六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵センターである。ところが同センターは、1995年4月から受け入れを開始しているものの、貯蔵容量は1440本に過ぎず、既に上述したフランスとイギリスへの再処理委託使用済燃料のガラス固化体(再処理委託契約において返還されることになっていたもの)1338本を受け入れたものの、フランスとイギリス及び国内で再処理した使用済燃料は上述のとおり合計約8200トンであったので、これはそのほんの一部に過ぎず、まだまだ搬入される筈で、既にしてパンク状態である。そこで、急遽、貯蔵容量を倍の2880本にするための増設工事がなされている状況、まさにこれも泥縄である。

しかしながら、既に見たように使用済燃料は、現時点でも各原子力発電所内に約13500トン、六ヶ所再処理工場に約2800トン、合計約16300トンも貯まっており、またさらに、今後、これまでどおり原子力発電を続ければ全国の原子力発電所で毎年およそ1000トン発生すると想定されているのである。ガラス固化体は、使用済燃料1トンにつき1本できるとされているので、これらを全量再処理すると、実に、現在ある使用済燃料だけでもおよそ16300本、そして、今後、毎年およそ1000本発生することになる。一体、どのような計算をし、どのような計画がなされているのであろうか。

ところで、ガラス固化体は再処理工程において発生するものであるが、使用済燃料が炉心から取り出されて再処理工程にまわされるまでは4年以上もの長期の冷却貯蔵期間がある。そんなに長期間の経過にもかかわらず、日本原燃で作られることになっている直径約40㎝、高さ約1.3m、重量約500㎏程度の決しておおぶりとはいえないガラス固化体は、成形された直後には、およそ2万テラ・ベクレル(1テラは1兆)もの放射能を持ち、その表面付近において、実に約1500シーベルト/時ものガンマ線が計測されるほどに超高レベルの放射線を放出しており、50年後でも放射能は5分の1程度、表面の放射線レベルは9分の1程度にしか下がらず、数万年後に至って、ようやく、もとのウラン鉱石のレベル程度になるとされている。また発熱量も大きく、100年経過しても表面温度は200℃近いといわれている。

前述の閣議決定では、30年~50年間、高レベル放射性廃棄物貯蔵センターに貯蔵し、発熱量の低下、放射能の減衰を待ってから、最終処分するとのことであるが、その最終処分とは、「最終処分法」によると、地下300m以上の深さの地層において、飛散、流出、地下に浸透することがないように必要な措置を講じて埋設することとされている(同法2条2項)。具体的には、安定した岩盤(天然バリア)と人工的な障壁(ガラス固化体を厚さ19㎝の炭素鋼製オーバーパックに封入し、オーバーパックと地層との間に粘土質のベンナイトと呼ばれる緩衝剤を充填するのだそうだ。ガラス固化体、オーバーパック及び緩衝剤を三つを称して人工バリアという。)。そして100年間にわたって受け入れた後、埋め戻して完全に閉鎖を、人々の生活圏から遮断をするということになっている。

しかしながらそのようなことで、飛散、流出、地下への浸透を防ぎ、はるかな未来においても、環境汚染を防ぎ、人々に放射性物質による被害が及ぶことを防ぎきることが果たして可能であろうか。ガラス固化体の前述の性状を考えるとおおいに疑問がある。

「最終処分法」の制定、施行にともない、2000年10月、最終処分事業を実施する主体として、電気事業連合会が中心となって、経済産業大臣の認可法人である原子力発電環境整備機構(NUMO)が設立された。そのNUMOの手により、2002年から、最終処分地の立地選定作業が進められている。しかしながら、電源三法交付金制度により、原子力発電所の場合よりもはるかに有利な交付金、補助金を交付するという露骨な利益誘導をしているにもかかわらず、立地選定作業は遅々として進まず、三段階に及ぶ選定段階(注:立地選定作業は、第1段階が概要調査地区の選定、第2段階が精密調査地区の選定、第3段階が建設地の選定と3段階のプロセスを経て行われる。)のうち、第一段階の概要調査地区選定のための文献調査候補地区への公募に応募したのは、高知県東洋町のみで、それさえも地元住民の反対運動により、すぐに撤回されるなど、惨憺たるありさまである。
(続く)
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プロフィール

Author:深草 徹
1977年4月、弁護士登録。2013年4月、セミリタイアして4年。歳を重ねましたが、「これからも、社会正義の話を、青臭く、続けよう」と思います。

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